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サンタ リタ
Santa Rita
カトリック教会:グアダルーペ聖母教会
フィエスタの時期:5月
地区の概要
サンタリタ地区は米軍の兵舎と海軍基地、そして弾薬庫をのぞけば、島内でいちばん小さく、静かで、昔ながらの趣が残る場所。中心部にある2軒の小型ストア(ディーズコーナー・ストアとサンタリタ・ストア)に加え、最近ではサンタリタ・ビデオストアが加わりました(サンタリタ・ストアに併設)。周辺を天然の水源にかこまれ、ジョーニャ地区との境にはターザンフォール、タロフォフォ地区との境界のすぐそばにはフェナ湖があります。ピティ地区との境界線はグアタリ川、アガット地区との境界線はナモ川で、地区の花はガーデニアからサンタリタ一帯に近年咲きほこるジンジャーへ変更されました。
基本的な活動拠点はグアダルーペ聖母教会。さらに村長のオフィスや新しい高齢者センター、その中間には野球場もあります。終戦後すぐに建てられた教会に家族ぐるみで通ってきた住民が多く、ほとんどは知り合い同士か、少なくとも毎週日曜日に教会で顔を合わせています。
フェナ貯水池は1951年、米軍弾薬庫の敷地内に、グアム駐留米軍に安定して水を供給するために竣工されました。現在は、島南部の広い地域をカバーする飲料水の主な供給源です。ここに多く生息するカラバオ(水牛)はかつて農作業や運搬に使う動物として重宝され、今ではグアムの文化・歴史のシンボルになっています。増大する水需要に応えるため、サンタリタ・スプリングス増圧ポンプ場は2007年に予算150万ドルの増強工事を終えました。
歴史
サンタリタの歴史はオロテ半島にある古代の小さな集落スメイから始まりました。第二次大戦時、日本の占領下でこの村を追いだされた住民は、やがて米海軍基地の建設用地を空けるため、現在のサンタリタ地区へ移されたのです。日本軍のグアム侵攻で村が爆撃されたのは、1941年12月8日のこと。多くの住民は所有する牧場があるアプラ近郊へ避難し、ほとんどが占領終結まで疎開を続けました。
アメリカ軍部隊がグアム奪還に向けて動いた1944年、スメイおよび隣接するアガットの住民の多くは現在のサンタリタ地区内にあるフェナ洞窟に逃げこみました。アメリカ軍がグアム沖で臨戦体勢を整えていたある日、日本兵はフェナに疎開していたスメイとアガットの住民100人以上を洞窟に追いこみました。その多くは10代後半から20代前半で、女性の多くは幾度も暴行され、おおぜいの男女が手榴弾や機関銃、銃剣などで殺されました。翌朝、数十人の捕虜はジャングルに逃げましたが、一部は逃亡中に殺害されました。
フェナでは毎年、この地で命を落とした人びとのために追悼ミサが行われますが、9・11テロ以降、米軍弾薬庫敷地内にあるフェナ洞窟はセキュリティ上の理由で閉鎖へ。ミサの場所はグアダルーペ聖母教会へ移されました。
グアム奪還作戦中、アメリカ軍はスメイを壊滅。島の支配権を回復すると、スメイの住民を再びよそへ移し、サンタリタに海軍占領当局が建てた草葺きの仮設木造住宅へ入居させました。仮住まいのはずでしたが、戦時中に何度も移転させられて疲れはてていた住民の多くがサンタリタに残ることを決意しました。米海軍は住民がもとの村へ戻ることも禁じ、オロテ半島と、スメイ地区一帯を含めたアプラ湾とその周辺の土地をすべて接収。かつてスメイのあった場所は現在、海軍基地の一部になっています。
海岸に暮らしていたスメイの住民は、今ではアリファン山のすそ野に家を構えていますが、このエリアは農業にも釣りにもあまり向いていません。山々の地形と傾斜のせいで区画整理がむずかしく、絶壁や深い峡谷ぎりぎりに戦後に建てられた住宅が現在でも多く見られます。こうした高床式の住宅は、大雨時の浸水や害獣などを避けることを目的としています。