昨年5月の巨大台風以降、休業が続いていたグアムミュージアム(Guam Museum)。まだすべての修復が終わったわけではありませんが、2月1日(木)から再開しています。オープンしているのは常設展のみですが、2018年の常設展オープン以来、なかなか訪れる機会がなかったので久しぶりに行ってきました。

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常設展は2階で開催されています。受付で入場料を払ってエレベーター、または階段で2階に上がると迎えてくれるのがこちら「The Journey of the CHamoru People(チャモロの人々の旅)」と題し、グアム誕生の神話に基づいた美しい絵画が迎えてくれます。

グアムの歴史は大きく分けると古代、スペイン統治時代、戦争時代、近代の4つの時代に分けられます。「The Journey of the CHamoru People(チャモロの人々の旅)」でも古代から近代へと時系列に、その時代時代の人々の暮らしがさまざまな遺物とともに紹介されています。

では早速、見ていきましょう。

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まずは「Land and Sea(陸と海)」と題し、グアムの自然と古代の暮らしについて。

ラグーン(Lagoon)、ビーチ(Beach)、コスタル(Costal)、ジャングル(Jungle)、サバンナ(Savannah & Valleys)、ウェットランド(Wetlands, 湿地帯)に分けて、そのエリアに宿る豊かな自然、そしてそのエリアで古代の人々がどのような暮らしを営んできたかが紹介されています。

例えば上写真「ウェットランド(Wetlands, 湿地帯)」では、川の河口エリアや沼地、マングローブの林などで人々は海老や鰻の仕掛けを設置して食料を得ていた様子を紹介。

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こちらは「コスタル(Costal)」を紹介する展示物、人々が暮らしに使っていた土器の欠片を集め復元された器です。

古代、人々は海の近くや海岸沿いに集落を作っており、現在もその場所には多くの暮らしの跡が残されています。先ラッテ時代(Pre-Latte)と呼ばれる紀元前1500年から900年にかけての土器はマリアナス レッドウェア(Marianas Redware)と呼ばれ、さまざまな図形が配列した模様がついていたそう。

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こちらはイナラハン村やジーゴ村の洞窟に数多く残るピクトグラム(絵文字、象形文字)です。

ちなみに「古代」と一言でいってもその期間はなかり長く、グアムに人が住み着いたと言われる4000年以上前から大航海時代の16世紀まで。おそらくその数千年の間にも多くの変化があったと思われますが、文字を持たなかったチャモロの人たちの古代の暮らしはまだまだミステリアス。

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次のコーナーは古代社会で培われてきた技術について。太平洋上を数千マイルにも及び航海するカヌーの製作技術、そのカヌーで目的にたどり着くまでのナビゲーション技術、古代チャモロ文化の代表遺跡ラッテストーンの製作技術、および住居の建設技術、その他、漁や狩りの技術などについての紹介です。

人々の日常の暮らしや太平洋上の島々との交流に必要とされた技術は、現代を生きる私たちを驚かせるものも少なくありません。

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これらは暮らしの道具。モノを切断するナイフ、戦いに用いたスリングストーンなど。

隣に書かれている文章を読むと、後期古代社会ではかなり秩序立った暮らしが営まれ、家族は母系社会で構成されていたとか。そしてこの時代からみんなで集まって食事をしたりゲームをして遊んだりするフィエスタ(Fiesta, 祭り)が行われていたそう。母親をとても大切にし、何かと集まってパーティーを行う現在のチャモロ人と通じますね。

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ポルトガルの冒険家であり、大航海時代にグアムに上陸したマゼラン・フェルナンデスの肖像画から始まるのはスペイン統治時代。

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人々の暮らし、特にカトリックの伝来によりグアムが西洋化していく様子を時代に沿って紹介されています。

スペイン統治時代といえば、スペイン広場にあるチョコレートハウスが有名ですが、こちらはチェコレートドリンクのブロンズ製のピッチャーと木製のマドラー。これらを見てからスペイン広場へ行くと、違った楽しみ方ができるかもしれませんね。

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こちらは戦争時代。アメリカ軍によって撮影された戦争の様子がビデオで上映されています。戦う相手は旧日本軍です。今、こうして平和な時代にグアムに住む日本人として、しっかり見ておかなければならないグアムの歴史です。

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終戦後も28年に渡りジャングルで潜伏生活を続けた横井庄一さんの暮らしも紹介されています。常設展の前半で紹介されている古代の暮らしそのままで生き抜いた横井さんです。

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最後は近代。こちらの写真は1950年、グアムがアメリカ合衆国の自治属領(準州)となることを認める法、オーガニック アクト オブ グアム(The Organic Act of Guam)署名式の様子。

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こちらでは歴代の知事や、チャモロ語をはじめとするチャモロ文化の保護を中心に現代のグアムの姿がさまざまな資料とともに紹介されています。

 

グアムミュージアムはグアムの歴史や文化を感じられ、観光スポットとして人気のあるハガニアにあります。
ミュージアム内は英語表示のみですのですべてを正確に理解するのは難しいかもしれませんが、写真や絵画、展示されている遺物や片言の英語から、少しでもグアムの歴史や文化を知っていただき、よりグアムを楽しんでいただければと思います。

 

<インフォメーション>
店名:グアムミュージアム(Guam Museum)
ロケーション:ハガニア地区スペイン広場隣
営業時間:9:00AM〜4:00PM
定休日:土・日・月曜日
電話番号:(671)989-4455
URL:https://www.guammuseumfoundation.org