チャモロマンスイベントの一環として、U.S. フィッシュ&ワイルドライフサービス(U.S. Fish & Wildlife Service)などが主催するイベント『ハアネン・リテクザン(Ha'ånen Litekyan)』に行ってきました。古代から用いられてきた網漁やスピア(槍)フィッシングなど楽しい催しがいっぱいでした。

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会場となったのは島北部にあるグアム野生動物保護区リティディアンユニット(The Guam National Wildlife Refuge, Ritidian Unit)。島最北のビーチとして知られるリティディアンビーチのあるところです。

このリティディアンエリアは古代の居住区として知られており、未だジャングルから数百年前のラッテストーン遺跡などが見つかっている場所。ここで、500年以上も前に古代チャモロ人がこのビーチで行っていたであろう漁の方法を教えてもらったり、生態系豊かなこのビーチについて学んだり、子供を対象としたイベントでしたが、大人も十分に楽しむことができました。

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イベントでは3つの漁の方法を教えてもらえました。残念ながら、天気は良かったのですが波が高く、ビーチではなく芝生エリアでの開催です。

漁の方法ひとつめは、タラザ(Talaya)と呼ばれる網漁。古代から用いられてきた漁法です。指導してくれた男性の後ろに丸く広がった網が見えますが、このように水面に網を投げて魚を捕まえます。今日でも用いられている方法で、もしかするとタモンビーチで大きな網を抱えた男性を見たことがあるツーリストもいるかもしれません。

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子供たちは網の持ち方、投げ方などを教えてもらい、魚に見立てたテニスボールめがけて網を投げますが、きれいに丸く広がりません。網の周囲には重りがついているので重量もあり、投げた網は丸まったままであったり、広がっても半円であったり、なかなか難しい。

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次は釣竿の使い方を教えてもらいました。釣竿は今日使われているものですが、海に囲まれた生活をしていてもなかなか釣竿を触る機会がありません。上手に投げられるようになったら、誰が一番遠くまで飛ばせるかを競って盛り上がりました。

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最後はスピア(槍)で魚を捕まえる方法です。スピアを飛ばす道具は手作りします。太くて強力なゴムにヒモをしっかり結びつけていきます。

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それができたら的に向かって弓矢の要領で打っていきます。なかなかまっすぐ飛ばすことができず、的にはなかなか当たりません。これを水中でするのはかなり難度が高そうです。

古代では魚を捕まえることは生きていく上で必要な技術。かつてのチャモロ社会では、一定の年齢に達した男性は一つの家に集められ、漁をはじめ生活に必要な技術を学んでいったと言われています。現代ではスポーツフィッシングなど趣味として親しまれていますが、グアムっ子、チャモロっ子たちもぜひ島で生きていく術や娯楽として、古代の漁やフィッシングを習得してほしいと思います。

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さて、野生動物保護区での開催とあって、貴重な動物に会うこともできました。ご存知の人も多いと思いますが、こちらはマリアナ諸島の固有種であり、絶命危惧種に指定されているココバード(Ko'Ko' bird)。アメリカ農務省などが中心となって保護活動が行われています。

隣には、この愛らしいココバードを絶滅へと追い込むブラウンツリースネーク(Brown tree snake)もいました。

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あまり知られていませんが、リティディアンビーチやその周辺はウミガメの産卵場所でもあります。孵化したばかりの赤ちゃんガメが海を目指して一生懸命、砂浜を歩く姿を見たことがありますが、こうした美しい生命の営みがこのビーチで繰り広げられていると思うと、砂浜や海の環境に今まで以上に配慮していかなければと思ってしまいます。

子供たちが遊びを通して古代文化を受け継ぎ、大自然に囲まれた島の美しさを学ぶことができたイベント。コロナによる規制も緩和され、今年からさまざまなイベントが再開しています。ツーリストの方たちにはぜひこのようなローカルイベントにも参加して、グアムの魅力を発見してもらえればと思います。