たくさんのダイビングポイントが点在するグアム。今回はアプラ湾内でとても人気のあるダイビングポイント、ギャブギャブII(GAB GAB ll)をご紹介します。ギャブギャブIIは観光用の潜水艦アトランティスV号(Atlantis V)の航路にあたるので、その魅力はダイビング中にアトランティスに遭遇する確率が高いこと、そしてアトランティスV号の乗客用に水中に餌が設置してあり、その餌を目当てにたくさんの魚たちが集まってくることです。湾内のため潮流もほとんどなく、初心者ダイバーでも潜りやすいダイビングポイントとなっています。外洋に比べると透明度は平均15メートルと落ちますが、コンディションのいい時は30メートル先まで見えることもあります。潜降ロープ下は水深40メートルほどありますが、ギャブギャブIIで一般的に潜る水深は15メートル前後の大きな珊瑚の根の周辺。珊瑚にはさまざまな水中生物が住んでおり、命いっぱいにキラキラしている様子を間近で観察できます。
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水中で突然あらわれる潜水艦に
ダイバー達も大興奮!
ギャブギャブIIはアプラ湾内にありますので、ボートに乗船して向かいます。港へはタモンエリアから車で約30分、ポイントまでは港からボートで15分ほどです。エントリーは、潜降ロープを伝ってゆっくりと降りていきます。ロープ下の水深は40メートルありますが、途中の10メートル前後でロープから離れ珊瑚の根の方へ移動します。しばらくして見えてくる珊瑚の根が水深15メートル前後です。美しい珊瑚に感動しているうちに、いつのまにかたくさんの魚たちが集まってきます。アトランティスV号用に餌付けされているため人懐こい魚たちばかりです。餌付け用の容器の周りには渦を巻くほどの無数の魚達を見ることができ、そのあまりの大群に息を飲むほどです。
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水深15メートル前後にある珊瑚の根。
この周辺をダイバーが潜ります。
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ダイバーの周りに集まってくる人懐こい魚たち。
サイズも種類も様々です。
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アトランティスV号用の餌付け容器の周り。
渦を巻く魚にまみれ、ダイバーが隠れてしまうほど。
モーターの回転音とともにアトランティスV号がどこからともなく近づいてくるのが分かります。水中は音の発信源が特定しにくいので、油断していると急に艦体があらわれ度肝を抜かれます。そのサプライズ的な登場も醍醐味のひとつですが、透明度が低い時はなおさらビックリ度が増します。モーターの回転音が聴こえてきたら、ダイバーは周囲をよく見回してどこから艦体が現れるのか気にしてみてください。アトランティスV号に出会ったら、艦体とは距離を保って注意深くダイビングします。よく見ると艦内の乗客がダイバーに向かって窓越しに手を振っています。多少の照れくささはあるものの水族館のお兄さんお姉さんになった気分で手を振り返してサービスしましょう。もちろんアトランティス・V号との記念写真を撮るのも忘れずに!
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アトランティスV号との遭遇。
急に現れる白い艦体にワクワクしきり!
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よく見ると丸い窓から乗客がこちらに
手を振りカメラのレンズを向けてきます。
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我々ダイバーも負けじと乗客に向けてアピール!
「ダイビングも楽しいよ」と伝えているようです。
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アトランティスV号との記念撮影。
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並行して一緒に泳いでいるところ。
ギャブギャブIIは、水中生物の種類の多さも特徴のひとつなので水中カメラの腕も発揮できます。大きなものから小さなもの、可愛らしいものから奇妙なものまで、多種多様な海洋生物を間近に観察することができます。たとえアトランティスV号に遭遇できなかったとしても、海洋生物がたくさんいるのでそれだけでも充分楽しめます。よく見かける代表的な生物はナンヨウツバメウオ、ハナビラクマノミ、ダスキーアネモネフィッシュ(ミクロネシアの固有種)、グルクンの群れ、キツネウオの群れ、エレファントイヤー(海綿の一種)、ウミガメ、コガネシマアジなどです。
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体長50cm前後のナンヨウツバメウオ
20匹~30匹ぐらいの群れをなしています。
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オレンジ色が綺麗なハナビラクマノミ
イソギンチャクの中でコロニーを作っています。
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ミクロネシア固有種のダスキーアネモネフィッシュ
特徴的な赤いイソギンチャクと共生しています。
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人間がすっぽり入るくらいのサイズの
エレファントイヤー(海綿の一種)。
像の耳とはよく言ったものですね!
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黄色が眩しいコガネシマアジ
潜降ロープに沿ってヒラヒラと泳ぎ回っています。
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ダイビング終盤の水深5m安全停止中に
水面を見上げたところ。
ギャブギャブIIを潜るにはCカードと呼ばれるダイビングの認定証が必要です。ストレスなくダイビングを楽しむために、ダイビング前にはガイドさんのブリーフィング(ダイビングの説明)をしっかりと聞いておきましょう。もしもに備え、はぐれてしまった場合の集合場所もあらかじめ打ち合わせておきます。決してひとりで勝手な行動をとることのないよう気をつけ、ファンダイビングを楽しんでください。
アトランティスV号運行のタイミングに合わない場合や、メンテナンスなどで運休している場合があり、その時はダイビング中に遭遇することはありません。またモーターの回転音は聞こえてきても、潜水艦本体が全く見えてこない透明度の悪い時もあります。そういったコンディションやタイミングはそのときどきですので、たとえ見ることができなかったとしても残念がらずにおおらかな気持ちで臨んでください。また観光用とはいえ餌付けには海洋保全の観点から賛否両論あるかと思いますが、今回はギャブギャブIIの特徴のひとつとしてご紹介させていただいておりますので、ご理解のほどよろしくお願い致します。
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