トレッキング経験者の間でも人気が高い、神秘的の洞窟「パガットケーブ(Pagat Cave)」へトレッキングに出かけました。週末の午前8時半、私たち家族を含め集合場所に集まったのは総勢15人。最年少は9歳の3人組とそのご家族で、他は20代や30代のカップルや50代の男性など様々です。そして午前9時半頃、パガットケーブに続くトレッキング道の入口からみんなで元気にスタートしました。

グアムで一番美しいと言われるパガットケーブの内部。
灯りはキャンドルとフラッシュライトだけ。

 

最初は平坦な草原の小道を進みます。朝の光が草木の間に差し、爽やかなハイキングが10分ほど続きます。その後、なだらかな下り坂を約10分歩いている途中、ガイドの安部さんがハートの形をしたハイビスカスの木の前で立ち止まり、この木についての説明をしてくれました。古代のグアムでは「パゴ」と呼ばれ、ハイビスカスの木の幹の繊維で綱を作ったり、布を織ったりしたのだそうです。幹の外皮の下にある繊維をはぎ、乾燥させ、水に浸してぬめりをとったあと、細かく裂いて糸を作っていたとか。戦後28年間、ジャングルで暮らしたあの横井庄一さんが自作で着用されていたのも、パゴの繊維で編んだ洋服でした。横井さんも様々な植物を試し、辿りついたのがパゴの木だったんでしょうね。このように、ガイドの阿部さんは途中で道ばたの草樹について説明をしてくれたりもします。

 

ハイビスカスの木の前で参加者に説明するガイドの安部さん。
「皆さん、サバイバル状態になった時には思い出して下さいね。」

 

 

倒れた木をまたいだり、枝に行く手を遮られたり。
手つかずのジャングルを進みます。

 

徐々に下りの傾斜がきつく道幅も険しくなり、草木が行く手を阻むようになってきました。足元は土の斜面から岩が多い斜面に変わり、さらにコケが生え表面が滑りやすいため、ロープを頼りに下降を続けます。ジャングルの中は蚊や蜂が多いので、途中で休憩を兼ねて虫除けスプレーを散布しながらさらに10分ほど進みます。最年少の9歳3人組も最年長の50代も、みんな同じペースで洞窟の入口まで到着しました。

 

石灰岩の斜面が続きます。

 

いよいよ左手の窪みの奥に広がるケーブ(洞窟)に入っていきます。長ズボン、スニーカーのまま窪みの水たまりにも入っていきます。頭上に気をつけながら大きな岩のすき間を進んでいくと、水深も徐々に深くなっていきます。そして約5m進むと、広い洞窟の奥に出ました。真っ暗な洞窟にキャンドルが灯り、幻想的な空間となっています。水深の浅い岩場に沿って進んだ先に荷物を置いた後は、思い思いに洞窟内の天然プールで遊びました。ここの水は淡水の真水と海水が混ざったもの。透明で冷たい真水に石灰質の岩の割れ目からしみ込んだ海水が混じるのだそうです。

 

洞窟の奥には鍾乳石が多く、
透明な海老の姿を発見した人も。

 

 

冷たい洞窟のプールで子供たちは元気に泳いだり、
フラッシュライトで水中を照らしたり。

 

 

石灰岩の上にはキャンドルが置かれ、
神秘的な空間が広がります。

 

洞窟の後は海岸線を目指してさらに険しい石灰岩の道を15分ほど降りていきます。途中、古代チャモロ村があった場所では、朽ち果てた巨石「ラッテストーン」の遺跡や石臼なども見かけます。
かすかに波の音が聞こえてくると、間もなく石灰岩でできた断崖絶壁のアーチが行く手に現れ、その下にはコバルトブルーの海が広がっています。そしてアーチを避けて海岸沿いに進むと、太平洋の水平線が一望できるすばらしい眺望が広がっていました。

 

朽ち果てた巨石ラッテストーンがこんな風にあちこちに点在しています。

 

 

ガイドの安部さんによると、
このエリアで古代の石臼が10個以上確認されているそうです。

 

 

こんな急斜面では、幹に捕まりながら降りていきます。
持参した軍手が大活躍しました。

 

 

太い幹の木々が減り背丈の低い草木の間を縫うように進むと、
ついに海が見えてきました。

 

 

ぽっかりと口を開けた石灰岩の間から、
輝く蒼の海面が姿を見せています。

 

 

ジャングルを抜け、海が見えてからは、
崖の先端を目指して岩場を進みます。

 

 

ゴツゴツの石灰岩に打ちつける太平洋の荒波は、
今も浸食を続けています。

 

 

海岸線の先には最南端のメリッソ村。
断崖絶壁がしばらく続きます。

 

 

トレッキングの途中で説明してもらったパゴの木で
杖を作るガイドアシスタント。

 

パガットケーブのトレッキングは中級程度。最後はみんなで元気に、太平洋を臨む海岸で潮風に吹かれてランチタイム。子供から大人まで大自然の魅力を堪能できる、素晴らしい一日になりました。パガットケーブ地域は今後米軍の射撃場として計画されており、実施されると立ち入りが禁止となりますが、このすばらしい景勝地へのトレッキングコースを今後も自由に利用できるよう呼びかける運動が、現在起こっています。

 

今回のトレッキングツアーの案内役は、グアムで「フロンティアツアー(Frontier Tours)」というトレッキングツアーのオペレーション会社を運営している安部さんです。グアムの秘境を知り尽くした冒険家に誘っていただきました。 皆さんがグアムでハイキングやトレッキングをされる際には、安全のためにも、必ず現地のガイドと出かけるようにしてくださいね。そしてグアムの素晴らしい大自然を満喫して下さい!

<インフォメーション>

■フロンティアツアー(Frontier Tours)
定休日:土曜日
住所:P.O.Box 315318,Tamuning, Guam 96913
電話番号:671-482-5360 / 671-649-1017
E-MAIL:explorerguam@guam.net
URL:http://guam.net/home/explorerguam/