南の島を想像すると真っ先に思い浮かぶのは青い海とビーチ沿いに並ぶヤシの木ではないでしょうか。 その背景に美しいスカイブルーの空があれば、それだけでテンションはあがりますね。
今回のお話は、ツーリストの皆さんのテンションをあげるヤシの木についてです。 日本の皆さんには意外と知られていない「ヤシの木の秘密」をぜひご覧ください。
青い空とヤシの木。 これを見るだけでもグアムに来る甲斐がありますよ!
500年前のグアムは、ポルトガル人探検家マゼラン一行もグアムに到着しておらず、チャモロ人たちは自然と共存する素朴な暮らしを営んでいました。そんな生活の中で、ヤシの木はチャモロ人達の生活にとって必要不可欠な植物でした。実の果肉は食料に、果汁はジュースとして飲料に、そして果汁を発酵させたものはトゥバ酒になりました。また、実の皮の繊維はロープを編むのに使ったり、火をおこす燃料に、ヤシの木の幹は建材やカヌーや器として利用し、ヤシの葉は物を入れておくためのバスケットやお米を炊くための入れ物を編むために利用されました。
そこから時代は巡り現代になっても、ヤシの木はグアムに必要不可欠なものとして利用されています。 例えば、南の味を体験できるツーリストに人気のココナツの果汁「ココナツウォーター」は、体内吸収が早く、暑い日の水分補給におすすめのドリンクです。鉄分が多く含まれ、貧血予防にも効果があると言われています。古代チャモロ人達は暑さの厳しいグアムで、常にココナツウォーターで喉の乾きを潤し、暑さから身を守っていたんですね。ますます暑くなる日本列島、皆さんにもぜひおすすめしたい一品です。
ココナツウォーターの記事はこちらから。 http://weekly.visitguam.jp/2010/09/post-124.html
このようなココナツウォーターの写真は、 南の島を連想させてくれますが、 実は南の土地の植物らしく、 暑さから身を守るためにおすすめの飲料なのです。
ヤシの木には沢山の種類があることをご存知ですか?なんと世界中で2,700種類にも及ぶそうです。 そんな多様な進化を遂げたヤシの木も元を遡ると「ココヤシ」というたった1つの種類から始まっているそうです。そこから、世界各地へ広がり、その土地にあうよう変化していき、種類を増やしたと言われています。
グアムでは青空に向かってスラリと幹を伸ばしたものを「ココヤシ」、少し低めの木に黄色い果実がなっているものを「キングココヤシ」と呼んでいます。聞いたところによると、ココナツの果汁は「キングココヤシ」の黄色い果実の方が甘くておいしいらしいですよ。どこかで黄色い果実のココナツを見かけたら、ぜひ試してみてくださいね。
「キングココヤシ」の黄色い果実。 黄緑のココナツよりおいしそうに見えますね。 ビーチではあまり見かけませんが 民家の軒先や庭ではこのような黄色い実のヤシの木をよく見かけます。
生活の助けとなったり、多様な進化を遂げたヤシの木ですが、グアムでは最近まで害虫に食い荒らされるという問題に頭を悩ませていました。グアムにいるカブトムシ「サイカブト」がヤシの葉の根元から木を食い尽くして枯らしてしまうのです。一時は様々な場所で、サイカブトを捕まえるための罠用のバケツ(中にサイカブトが好む匂いを仕込み、垂直に飛ぶことができないサイカブトは中に入ると逃げ出すことが出来ない)を仕掛けるという駆除プロジェクトが組まれたほどです。プロジェクトが功を奏し、その数は少しずつ減らしているそうで、サイカブトを見ることが少なくなりましたが、ヤシの木を枯らしてしまうなんて、まさにツーリストの天敵でもありますね。
最後にグアムに来た際、ヤシの木について常に頭の片隅に置いておいてほしいことがあります。 それは「ヤシの木の下は要注意!」ということです。実がなっているヤシの木、特に茶色い実がなっているヤシの木の下を歩くのはとても危険です。突然実が落ちてくることがあるからです。我が家でも時々裏庭でドスッという音が聞こえてくる時がありますが、高い位置から勢いよく落ちてきた実に当たると大けがの原因ともなりかねません。熟した木の実が自然に落ちてくるのは、よく考えてみると当然のことなのですが、ヤシの木だとなぜかつい忘れてしまいがちです。木陰で昼寝をしたり、写真を撮る際には十分に気をつけてくださいね。
以上が日本であまり知られていない「ヤシの木の秘密」です。 グアムに訪れた際にはぜひヤシの木を見上げて、この話を思い出してみてくださいね。