グアムにいらしたらぜひご覧いただきたいのがチャモロダンス。他の太平洋上の島々の踊りと似ているようで、実は全く異なる独特の踊りです。日本でもチャモロダンスを踊るグループが2つありますが、その中の1つが「ファマグウン・タノ・ザニ・タシ(Famagu'on Tano' Yan I Tasi)」という、ダンス・演奏・チャント・歌のすべてを自分たちで行うチャモロダンスグループです。このグループは度々グアムでのイベントに登場し、素晴らしいパフォーマンスを披露。そしてそれだけではなくグアムの人々との交流により、グアムの歴史や文化についても深く学んでいます。夏休みまっ只中、グアム旅行を楽しむツーリストで賑わうチャモロビレッジナイトマーケットでの初パフォーマンスとともに、彼らの活動も合わせてご紹介します。
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チャモロビレッジナイトマーケットでは
多くのツーリストの皆さん、ローカルの人達に見守られ、
グアムのダンス仲間8名がジョイントして
1時間たっぷり素晴らしいパフォーマンスを披露しました。
日本語に訳すと「大地と海の子ども達」を意味する「ファマグウン・タノ・ザニ・タシ」、日本を拠点に活動しているチャモロダンスグループです。指揮するのは帝京大学教授の中山京子さん。グアム政府観光局が主催する「グアムチャモロダンス・アカデミー」の第1期生でもあり、チャモロダンス・マスターであるフランシスコ B. ラボン(Master Francisco B. Rabon)氏の下でトレーニングを積みグループを結成。ラボン氏に認定されたグループのみが使うことができる名称「グマ(GUMA)」を取得しています。メンバーは帝京大学の学生と卒業生が中心。スタディツアーと称し年に数回グアムを訪れ、ダンスを披露するだけでなく、チャモロ人の人々と交流したり、歴史遺産を訪れるなどグアムやチャモロ文化への理解を深めています。
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チャモロビレッジのナイトマーケットで
パフォーマンスが行われたのは8月10日水曜日。
テーマはチャモロ語で
「マングアハ・ゲッポン・タシ・シハ(Manguaha Gekpon Tasi Siha)」
日本語では「海原を回遊する鳥たち」。
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古代チャモロダンスとスパニッシュチャモロダンスの二部構成で
スパニッシュダンスの始まりには中山さん自らソロを披露。
流れるような柔らかな美しい動きがとても印象的です。
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グアム在住デュエナス姉妹、
米軍日本駐留から帰国したばかりのラボン氏の
元お弟子さんと一緒に、
イタノフ(I Tano'-Hu、美しいマリアナを讃える曲)を披露。
まさに日本とグアムをつなぐ一曲です。
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普段から交流しているグアムの仲間も応援に駆けつけ
チャント(Chant)と呼ばれる詠唱と共に
ダンサーを盛り上げます。
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その様子はグアムの日刊紙
パシフィックデイリーニュース(Pacific Daily News)
でも紹介されました。
今回の来島はスタディツアーの7回目。今回もグアムの人たちとたくさんの交流の機会を持ちました。戦前、戦中、戦後のグアムの子供たちの教育に尽力したフランシスカ Q.フランケス(Francisca Q. Franquez)さんを訪れ、当時の話を聞いたり、グアムのチャモロダンスグループと交流会を開いたり、また島中に点在する戦跡を訪れ71年前の夏を振り返ったり。グアムの人々との交流により得た知識や思いは「記録」として残すだけでなく、人々の「記憶」に深く刻み込まれるべき、そして自分たちにはそれを語り継ぐ使命があると、中山さんは話します。
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94歳になるフランシスカ Q.フランケスさんを訪れた時の一枚。
さまざまな時代を生きた彼女の話には
考えさせられることが数多くあります。
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こちらは普段から親交のあるローカルアーティスト
ロン・カストロ(Ron Castro)氏のランチ(ranch)に招かれた様子。
ココナツをとって割ったり、カムズ(Kamyo)と呼ばれる道具で削ったり。
ローカルの週末の過ごし方を体験しました。
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またローカルの人たちの前でもチャモロダンスを披露、
皆さんに喜んでいただきました。
5日間にわたるスタディツアー。
ナイトマーケットでのステージをはじめ、
今回も精力的にグアムを学び帰国されました。
受け継がれてきた文化を後世に残すことの難しさ、貴重な歴史的体験者の高齢化などはどの国、どの地域もが抱える課題です。こうしてグアムの文化や歴史を学び、日本との架け橋となって活動する「ファマグウン・タノ・ザニ・タシ」。多くの日本の若者がグアムに関心を持ってくれることを嬉しく思うと同時に、グアムに住む者として彼らの継続的な活動には敬服するばかり。その取り組みの姿をグアムのローカルの人々も嬉しく思っています。今後もグアムの人々と交流を重ね、まさにショーのタイトルである「海原を回遊する鳥たち」のようにグアムと日本の素晴らしい関係を構築していただきたいと思います。
<過去の「ファマグウン・タノ・ザニ・タシ」の記事はこちら>