先週金曜日9月1日(金)から明日9月9日(土)までの1週間、タモン地区にあるニッサン グアム インフィニティアートギャラリー(Nissan Guam Infinity Art Gallery)で開催されている企画展『カルチュラル・ディメンションズ・アートエキシビット(Cultural Dimensions ART EXHIBIT)』。グアムで活躍するアーティストの作品を一堂に見ることができる盛大なアートショーです。このイベントに参加するのはヒルトン グアム リゾート&スパ(Hilton Guam Resort & Spa)横にあるチャモロカルチャーセンター(Sagan Kotturan Chamoru)で創作活動をするアーティストが中心。この数年で急速にチャモロ文化の復活を感じられるようになりましたが、この企画展もチャモロ文化の伝承とその伝統の発展を願って開催されたものです。



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チャモロ文化を代表するスポンディラス貝のアクセサリー。
受け継がれてきた伝統の形から、装飾を施しモダンにアレンジされたものなど
アーティストの個性が光ります。  



グアムが築き上げた長い歴史の中で、この地域独自のチャモロ文化が失われそうになった時期もありました。しかし戦後の混乱が落ち着き、観光という新たな産業が光りを浴び始める頃からチャモロ文化に対する人々の意識にも変化の兆しが訪れ、昨年秋にはグアムミュージアム(Guam Museum)がソフトオープンするなど、この数年で急速にチャモロ文化の復活を感じられるようになりました。
2014年にヒルトン グアム リゾート&スパ横の高台にオープンしたチャモロカルチャーセンターもその1つ。ここではチャモロ文化への造詣が深いアーティストやグアムを拠点に活動するアーティストのスタジオ、工芸品を販売するショップなどが点在していますが、さらにワークショップや体験型アクティビティなどを開催し、もっと活性化させようという動きもあります。

現在開催中の『カルチュラル・ディメンション・アートエキシビット』にはチャモロカルチャーセンターで活動するアーティストの他、チャモロカルチャーセンターの趣旨に賛同する者たちが一同に会し開催されています。企画展終了後、本格的にチャモロカルチャーセンターの活用方法について検討されていくそうです。



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普段は車が展示されているホールに、
絵画、ハンドメイドの伝統的なアクセサリー、古代のフィッシング道具など
さまざまな作品が並びます。



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こちらは航海術に優れていたという古代のチャモロ人が使っていた
帆船(プロア船)を木材や植物の葉で再現したもの。
グアムを代表するアーティスト、ロン・J・カストロ(Ron J Castro)氏の作品で、
名の知れたアーティストが参加することでイベントを盛り上げています。



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自然が作り出した輝きをそのまま作品に取り入れた美しいチョーカーとイヤリング。
こちらはチャモロアートの母と慕われる
ジュディ "ジル" キチョチョ・ベナヴェンテ(Julie "Jill" Quichocho Benavente) さんの作品。



「ジル」の愛称で親しまれるこちらの女性は、チャモロカルチャーセンター内にグイナハン・チャモル(Guinahan Chamoru)というお店をオープン。ローカルアーティストの作品を販売する傍ら、自身もアーティストとして創作活動を続けています。



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こちらはマーク・デリソラ(Mark Dell'isola)氏の絵画。
細やかな図案に鮮やかな色彩、緻密な作業など圧巻のパワーを秘めた作品は
島内外で高い評価を得ています。



マーク氏もチャモロカルチャーセンター内にスタジオを構え、創作活動を行っています。とても気さくな方で、スタジオ内の作品を説明しながら見せてくれることもあります。



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こちらは若手アーティスト、ジョセフ・サーティザ(Joseph Certeza)氏の作品。
彼はグアムやチャモロのアイデンティティーを彷彿させる図柄やパターンを
布地に施していくテキスタイルデザイナーです。



ジョセフ氏は、昨年開催された4年に一度の太平洋上の島々の祭典『フェスティバル オブ パシフィックアーツ(Festival of Pacific Arts)』でファッション部門を担当するなど、この数年で目覚ましい躍進を遂げています。彼がデザインした布地で作られたシャツやスカート、バッグなどはイベントのポップアップショップで販売されていますが、チャモロカルチャーセンターでも何度かポップアップショップをオープン。今後のさらなる活躍が期待されるアーティストです。



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その他にも興味深い作品が多数。
私がいつも思うのは、
グアムの人は本当にチャモロ文化を愛し、誇りを持っているということ。



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受け継がれたものは大切に継承し、
それとはまた別に新たに進化させることがとても上手です。
古代のものをモダンにアレンジし、日々の暮らしやファッションに取り入れています。
伝統の継承問題はおそらく多くの国や地域が抱えている課題だと思いますが、
グアムでは今、確実に次の世代へと受け継がれているのを感じます。



こちらの写真のようにビーチやジャングルで発掘された
古代の生活道具の展示もあります。



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古代、大きな集落があったとされる島北部のリティディアン地区。
こちらのブースではリティディアン近辺で自生する薬草を紹介しています。



『カルチュラル・ディメンション・アートエキシビット』は明日まで開催されています。もしお時間があれば立ち寄ってみてください。また今後のチャモロカルチャーセンターの発展も見守っていきたいと思います。



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<インフォメーション>

イベント名:カルチュラル・ディメンション・アートエキシビット(Cultural Dimensions ART EXHIBIT)
開催場所:ニッサン グアム インフィニティアートギャラリー(Nissan Guam Infinity Art Gallery)
開催期間:2017年9月1日(金)~9月9日(土)8:00AM~5:00PM
定休日:日曜日
入場:無料
住所:1012 N Marine Corps Drive Tamuning, GU 96913
ロケーション:アッパータモン地区マリン・コア・ドライブ沿い
電話番号:477-7261(ニッサン グアム)