2016年11月にソフトオープンしたグアムミュージアム(Guam Museum)。今まで数か月ごとにテーマが変わる企画展のみでしたが、今月5月3日(木)、待望の常設展がオープンしました。グアムの長い歴史や豊かな文化を保管、研究し、後世へと伝える大切な役割を担うグアムミュージアム。中でも常設展の内容がどのようなものになるのか、島の人々は高い関心を寄せていました。待ちに待ったオープンの日はちょうど『第30回グアム・ミクロネシア・アイランド・フェア』開催時。グアム準州知事エディ・カルボ(Governor of Guam Eddie Calvo)氏らがリボンカットを行い、盛大にオープンしました。



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数多くの歴史遺産が点在する
グアムの首都、ハガニア地区に立つグアムミュージアム。



グアムミュージアム常設展は2階で開催されています。階段を上るとチャモロ語で「I Hinanao-ta Nu I Manaotao Tåno' I Chamoru Siha」のサイン。英語では「The Journey of the Chamoru People」、日本語では「チャモロの人々を辿る旅」とでも訳しましょうか。太平洋に浮かぶ小さな島、グアム。ここにいつ、どのように人々が住み着いたのか、どのような暮らしを営み、どのように発展してきたのか。4,000年前に始まったグアムの歴史、チャモロの始まりを紐解いてゆきます。



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常設展の入り口のサイン。
1階の受付で支払いをした際にもらうチケットをここで提示し中に入ります。



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まずこちらには
現在、グアムで活躍するアーティストの作品が展示されています。
グアムの自然や文化を美しく表現した作品が並びます。
上のモニターからエディ・カルボ氏のメッセージを受けると
横の扉が開き、隣の部屋へ案内されます。



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こちらのシアターではグアムの島誕生にまつわる伝説や
グアム島に初めて人々が上陸した時の模様を上映。
カヌーに乗って大海原を超え、島に辿り着く様子を見ていると
まるでその時代にタイムスリップしたかのような錯覚に襲われます。
これから始まる展示への期待が高まります。



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ちなみに音声はすべてチャモロ語で、字幕が英語です。
プンタンとフウナという兄妹がおり、
兄プンタンの死後、彼の体がグアムの大地に、右目が太陽、左目が月、
眉毛が虹になり、妹フウナの涙が海を作ったというのがグアム島誕生の伝説。
英語がわからなくてもこのようなストーリーを
頭に入れてから行くと楽しめると思います。



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上映が終わると次の部屋へ。
深い緑に覆われたジャングルを模した展示で
島に上陸した人々の暮らしぶりを見ることができます。



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リーフ(Reef)、ラグーン(Lagoon)、
ビーチ(Beach)、コースタル(Coastal)、
ウェットランド(Wetlands)、ジャングル(Jungle)などに分かれ、
それぞれの場所で営まれた暮らしを
遺物やレプリカとともに紹介していきます。



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こちらでは同じく暮らしの様子を紹介するとともに
古代の人々の優れた技術に焦点を当てていきます。



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ラッテストーンを土台にしたと言われる
グマ(Guma)と呼ばれる住居を建設する技術、
漁や近隣の島々との貿易のために作られた帆船作りの技術、
星を読み、時に荒れ狂う海を渡る航海術など
数千年の時を超え、これらは現代に受け継がれています。



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さていよいよ
ポルトガル人の探検家フェルディナンド・マゼランの登場です。



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グアムが西洋化していく様子を時代に沿って紹介。



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そして戦争、戦後、近代へと続いていきます。



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日本人の私としては、グアムのジャングルに28年間潜伏し、
タロフォフォ村で発見された横井庄一さんが潜伏中に実際に
木の繊維で作った洋服や、タロフォフォ川に仕掛けていた手作りの
エビやうなぎを獲る罠などがグアムに保管・展示されていた事に
感動してしまいました。



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最後はグアムの近代化について。
展示場内の階段を降りて1階に着くと
アーティストの作品とともに
戦後のグアムの歩みが紹介されています。
政治、経済、文化などさまざまな角度から現在に至るまでの
グアムの姿を見ることができます。



3,500年前に遡るグアムの歴史を、人々の暮らしの変化とともに見ることができる常設展。解説はチャモロ語と英語のみですが、音声や映像を楽しめる箇所もあります。グアムを訪れるなら、まずグアムを知っていただきたい 。どのように誕生し、どのような歴史を経て現代のグアムがあるのか。グアムミュージアムの常設展に、ぜひ足をお運びください。

企画展は5月20日(日)まで『トレジャー・オブ・フェストパック(Treasure of Festpac)』が開催されています。2016年にグアムで開催された太平洋上の島々の文化の祭典『第12回フェスティバル・オブ・パシフィック・アーツ(12th Festival of Pacific Arts)』の見どころをコンパクトにご紹介しています。
6月以降は『ザ・レガシー&ヒストリー・オブ・ザ・マニラ・ガレオン・トレード・イン・ザ・マリアナアイランド(The Legacy & History of the Manila Galleon Trade in the Mariana Islands)』を開催予定です。16世紀から19世紀にかけてフィリピン、メキシコを行き来したスペインの貿易船マニラ・ガレオンがグアムに寄港し、約250年の間にグアムにもたらした政治的、文化的、社会的影響を紹介します。

5月4日(金)から営業時間が変更となり、定休日がなくなりましたのでご注意ください。また常設展オープンに伴い、入場料も変更しております。



<インフォメーション>

店名:グアムミュージアム(Guam Museum)
営業時間: 10:00AM~4:00PM
定休日:なし
住所:193 Chalan Santo Papa 
Juan Pablo Dos. 
Hagatna, Guam 96910
ロケーション:ハガニア地区チャモロビレッジ向かい
入館料:大人$20、子供(5~17歳)$2、4歳以下無料 
電話番号:988-4455


※記事内の料金は2018年5月18日現在のものです。