「ディナニャ・ミナゴフ・ダンス コンペティション&フェスティバル(Annual Dinaña Minagof Dance Competition & Festival)」はグアム最大のチャモロダンス大会で、フラダンスで言うところの「メアリー・モナーク」に相当し、ダンスグループが1年間の集大成を発揮するイベントとも言えます。2014年7月5日(土)と6日(日)の両日にグアム大学のフィールドハウスで開催された、今年で第11回目を迎えた当イベントには、沢山の観客が集まりました。コンペティションにはグアムで活動するチャモロダンスグループによるステージだけでなく、地元の小中学生、アメリカや日本からやってきたチャモロダンスグループ("グマ"(GUMA)と言います)などがゲスト出演しました。当イベントは、チャモロ文化の継承に大きな役割を果たしているのです。

コンペティションは「コンテンポラリー(現代風)」「スパニッシュ(スペイン風)」
「アンシェント(古典)」の3つの部門に分かれて行われ、
「パフォーマンス」「衣装」「オリジナリティ」など様々な観点から
審査員が50点満点で審査を行います。
初日の午前中に行われた「コンテンポラリー(現代風)」部門では、ベースとなるチャモロダンスを現代風にアレンジした創作ダンスが披露され、エントリーした6グループの中から「グマ アニテン・イ・タオタオタノ(Guma' Aniten I Taotao Tano')」が最優秀賞に選ばれました。

こちらが最優秀賞に選ばれたダンスグループ、
グマ アニテン・イ・タオタオタノ。

コンテンポラリー部門は、チャモロダンスを織り交ぜた
ミュージカル仕立ての創作劇の趣があり、
グアムの歴史を背景にそこに生きるチャモロ人の素顔や
心模様が表現されています。

コンテンポラリー部門のステージは
衣装や演出もチャモロダンスの伝統にとらわれない
自由な発想で構成されているので、
チャモロダンスの知識がない初心者の方でも楽しめます。
初日の午後に行われた「スパニッシュ(スペイン風)」部門では、リズム感にあふれ色彩鮮やかなドレスが素敵なスペイン風チャモロダンスが披露されていました。1521年3月6日にポルトガルの探検家マゼラン一行が世界一周の途中にグアム島に立ち寄ったのをきっかけに、スペインはグアム島の領有を宣言しました。そして1565年から333年に及ぶスペイン統治時代が始まり、グアムの人々の暮らしは大きく変化していきました。この西洋文化を取り入れた時代のグアムの暮らしや精神が、スパニッシュ部門のチャモロダンスの特徴です。

グアムの民族衣装"ミスティーシャ"を着て踊る
華やかなステージ。

6グループがエントリーしたスパニッシュ部門を制したグループはこちら、
「グマ タイタオ・ラグ(Guma' Taotao Lagu)」。

チャモロダンスを通して
グアムの歴史や文化、伝統に楽しみながら触れて下さい。
2日目の午前中に行われたのが「アンシェント(古典)」部門のステージ。古代チャモロ人の衣装を身につけ、男性はたくましく力強いダンスをみせてくれました。

女性はヤシの葉で作られたスカートを
腰に巻いて踊ります。
アンシェント部門で最優秀賞に輝いたのは、「グマ イレンシアン・タオタオタノ(Guma' Irensian Taotao Tano')」。昨年に"チャモロダンスマエストラ"として 「CAHA(グアム芸術人文科学協議機関)」によって認定されたアイリーン・メノ氏率いるグループです。

厳しい目で各グループのステージを採点する審査員が
ステージ前の最前列を陣取ります。
ディナニャ・ミナゴフ・ダンス コンペティション&フェスティバルは、チャモロダンスマスターであるフランシスコ B.ラボン氏が率いる、2001年に設立された非営利団体「パ・ア・タオタオタノ(Pa'a Taotao Tano')」が主催しています。グアム及びミクロネシア地域の文化の復興と存続をミッションとし、パフォーマンスやエキジビションなどを通してチャモロ人を含むグアムの人々が文化を共有することを目的としています。
フランシスコ B.ラボン氏がグマリーダーを務める、グアムで一番歴史が古いダンスグループ「タオタオタノ」からは沢山のお弟子さんたちが独り立ちを果たし、「ファファナグエ(Fafa'nague)」と呼ばれるグループのリーダーとして、自らのダンスグループを結成しています。ダンスグループはチャモロダンスマスターより「グマ(GUMA)」(チャモロ語で"家"を意味します。)と認定されます。

オープニングでは、フランシスコ B.ラボン氏(左)によって
各グループのファファナグエの方々が紹介されました。

ファファナグエやゲストパフォーマーの方々が
チャモロソングを高らかに歌い、いよいよイベントがスタート!

イベントのディレクターを努め、司会進行を担当した
フランシスコ B.ラボン氏。
日本で開催されている「グアムチャモロダンスアカデミー」では
自ら指導をするために日本を訪れています。
グアムチャモロダンスアカデミーの詳細についてはこちら。
http://www.visitguam.jp/campaign/chamorro/2014_academy.html

年々参加グループが増え、チャモロダンスの裾野の広がりを感じさせてくれた
第11回ディナニャ・ミナゴフ・ダンス コンペティション&フェスティバル。
衣装や演出も工夫されており、
見応えのあるステージに進化し続けています。
ディナニャ・ミナゴフ・ダンス コンペティション&フェスティバルは、例年日本の夏休み前のこの時期に開催されます。今回の入場料は1日大人$10 / 子供$5と、とってもお手頃にもかかわらず、グアムの伝統文化の全てを満喫することができますので、是非一度このイベントに合わせてグアム旅行を検討してください。来年は皆様と会場でお会いできることを楽しみにしています。
来週は、日本人グループのパフォーマンスをご紹介いたします。どうぞお楽しみに!