今年で17回目となる日本人会主催の「アート&クラフトフェア(Arts & Crafts Fair)」。多民族が暮らすグアムの人々と日本の文化や芸術を通して交流を深めることを目的に始まり、毎年3月に開催されています。グアムに居ながら日本舞踊や合気道など日本の文化と向き合い日々練習に励んでいる方々が来場したり、将棋、書道、折り紙など私たちが親しんだ文化、そしてビーズアクセサリーやパッチワークといったクラフト作品、手作り雑貨など、今年は『エコ・グリーン』をテーマに掲げ、さまざまな文化とアートが一堂に集まりました。

アート&クラフトフェア初参加の
グアム在住日本人女性による手作り雑貨、
スナックやラーメンの袋を再利用して作った
ポーチやバッグです。

ほぼ毎年、このイベントに足を運んでいますが、毎回感じることは日本文化の多彩さ。日本にいると当たり前すぎて感じることのできなかったことです。日本舞踊や茶道といった伝統芸能から日本を代表する武道である合気道、それだけではなく学校で習う書道や休み時間に遊んだ折り紙も、実は立派な日本の文化なのですね。

ホテルのバンケットルームにはグアム在住日本人、日系人、
コミュニティカレッジや高校で日本文化を学ぶ学生たちによる
さまざまな作品が並び、パフォーマンスが披露されました。
こちらは折り紙アートのコーナー。
十二支の干支や、海老、イカ、カニ、お花など実にリアルに出来ています。
私が子供の頃に親しんだ折り紙とは別格ですね。
こちらは折り紙の実演&体験コーナー。
英語で書かれた折り紙の本を見ながら
ローカルの子供たちが挑戦していました。
今、私は家で子供たちに鶴や飛行機、手裏剣などを作っていますが
何十年たっても作り方はちゃんと覚えていました。
これほど親しんだ折り紙、日本にいたら身近すぎて一つの文化として
捉えることができなかったと思います。
書道も同じ。
あれほど練習がいやだったのに、
こうしてグアムの子供たちが興味を持っているのをみると
誇らしく思えますね。
日本にいてもなかなか見る機会のない
お茶の世界。
合気道も実はグアムに来て初めて間近で見ました。 技術を磨き精神を鍛練するだけでなく
転んだ時に体を防御する受け身の体勢や
背後から襲われた時の護身術を身につけられるなど
日々の生活でも役に立つ武道だそうです。
こちらはグアム・コミュニティ・カレッジ(Guam Community College)の学生による
ジャパン・クラブ(Japan Club)の風呂敷パフォーマンス。
日本古来の知恵である風呂敷。
多様性があり何度でも再利用できることから、
現代ではエコフレンドリーアイテムとして再び注目されています。
赤ちゃんも優しく包み込んで、
抱っこひもの出来上がり。
この姿に通りかかった人は皆さんがカメラを向け、
風呂敷の多様性に驚いていました。
奈良時代から海外より伝来したと言われ、
その後日本独自の碁盤ゲームとして発展してきた将棋。
将棋のコーナーでは子供たちが、7段の腕前を持つ
日本将棋連盟指導員の橋本誠さんに挑戦しています。

クラフト作品も、日本文化から趣味で作られた可愛い雑貨まで多彩です。冒頭で紹介したグアム在住日本人女性、ヨシミさんのユニークな作品をはじめ、手作りの温かみのある作品が披露されました。

今年のテーマ「エコ・グリーン」にぴったりなヨシミさんの作品。
普通なら捨ててしまうものもこうして再利用すればりっぱなエコ。
仕事、家事を終えホッと一息付いた時のリラックスタイムに制作。
ヨシミさんにとって格好のストレス解消だそうですよ。
一石二鳥ですね。
日本に古くから伝わる木目込み人形は、
日本人会内で週に1回クラスを開催している
メイズ アート&クラフト(Mae's Arts & Crafts)の生徒さんの作品。
今年の干支である未(ひつじ)や手鞠などが並びます。
同じく日本人会内で活動するパッチワーク・キルトサークルの
パパイヤ倶楽部(Papaya Club)も
素晴らしい作品を出展していました。
こちらは日本の春をイメージさせる桜のパッチワーク。

この他、今年も手作りの温かみのある作品がたくさん集まり、多くの人出で賑わいました。もちろん日本人だけでなくローカルにも人気のイベントです。ツーリストの皆さまがチャモロ文化を体験しようとさまざまなアクティビティに参加するのと同様、日本、チャモロ、アメリカ、フィリピンなど各国の人たちが日本の文化を話題にして盛り上がっているのを見ると、改めて日本文化の素晴らしさを実感します。日本人でありながら日本では感じることのできなかった貴重な時間を過ごすことができるアート&クラフトフェア。ツーリストの皆さまもグアムでなら、違った目で日本の文化を見つめなおすことができそうですね。