終戦70年目となる今年、この夏は日本各地でさまざまな催しが開催されていることと思います。グアムでは1945年の終戦よりも、旧日本軍の統治から解放された1944年をグアムの歴史上、重要な日としています。1944年7月21日は旧日本軍からグアムを奪還するためにアメリカ海軍がグアムに上陸した日。その日から約3週間に渡り激しい戦闘が繰り返され、数千人のチャモロ人と、日本兵、アメリカ兵合わせて数万人が亡くなったと言われています。
グアム解放記念日(Guam Liberation Day)に制定されている7月21日は、毎年ハガニア地区で盛大なパレードが開催されます。元々はアメリカ軍によるグアム奪還を祝うイベンでしたが、現在は日々の穏やかな暮らしへの感謝や、さまざまな国の人が共に生きていく平和な世界への願いを込めて開催されています。

グアムらしい晴天の下、さまざまなデコレーションをあしらったフロート(山車)が登場。
沿道には数千人の人々が集まりました。

第71回リベレーション・カーニバル(71th Liberation Carnival)のパレードは、午前10時に始まりました。グアム政府の各機関、グアムの各村、米軍、企業、NPO団体、その他さまざまな団体、グループが参加しました。フロートはそれぞれとっても個性的で、かなり凝ったデザインが施されているものもあります。パレードではフロートコンテストも同時開催され、優勝を目指してフロート作りにもかなり力が入っているのです。

こちらはビレッジ部門で準優勝した米軍基地を有する
ジーゴ村(Village of Yigo)のフロートです。
アメリカの国鳥である白頭鷲や、グアムの伝説の1つシレナ(人魚)が
デコレーションされています。
南国の木や花でデコレーションされた華やかなフロートは
ハガニア村(Village of Hagåtña)の一部であるアガナハイツ(Agana Heights)から。
フロート横に大きく掲げられているスローガンは
今年のパレードのテーマである「The Spirit of Hope, The Colors of Freedom」。
明るく平和な未来へ希望を持ち、パレードでは星条旗の赤・青・白が
いろいろなところに掲げられていました。
1944年の戦いで多くのグアムの人が命を落とした他、
その後も世界各地の戦場で米軍に所属するグアム出身者が犠牲となっています。
終戦70年を意識してでしょうか、戦争犠牲者を悼み敬意を表するフロートも
今年は数多く見受けられました。
フロート上の星条旗の前で
アイランドコスチュームを身に付け手を振る女性たち。
毎年、グアムに駐在する米軍の各機関も多数参加します。
機関によって異なるユニフォームで、演奏をしながら行進するチームもあれば
沿道に手を振りながら歩くチーム。
次々とパレードが続きます。
よく晴れたこの日、沿道ではアウトドア用の椅子と日よけの傘を用意して
パレードを鑑賞する人々がひしめきあっています。
バーベキューをする人や、自宅から大量のお料理を持ってきて
パーティーさながらに過ごす人もたくさんいます。
ハーレーダビッドソンのパレード。
ハーレーならではの迫力のサウンドを響かせ、自慢の愛車を披露します。
第71回リベレーション・デイ・クイーン(71th Liberation Day Queen)の
ボニータ・デイダスコ(Miss Bonita Dydasco)さん。
彼女のおばあさんは現在79才、戦争経験者です。
その時の話を聞く度に平和の尊さを痛感するそうです。
パレードは昼頃まで続き、
夜には第71回リベレーション・カーニバルの会場で
花火が打ち上げられました。

世界各地で尊い命が失われる悲惨なニュースが日々流れる今日、グアムではこの日一日、楽しいパレードや美しい花火を眺めながら多くの人が71年前に思いを馳せ、平和な未来がやってくることを願いました。グアムに住んでいる人たちの国籍はさまざま。観光地として迎えるツーリストも世界中からやってきます。多くの国籍、民族、宗教の人々が集まるグアムだからこそ、この日のような平和な時間がこれからもずっと続くことを願ってやみません。