日本では一般的に日本が終戦を迎えた1945年を基点に「戦後00年」という言い方が使われ、今年2018年は戦後73年になります。グアムでは旧日本軍による占領が終わり、再びアメリカの統治下に入った1944年を基点に数えられ、今年は「74th Guam Liberation(グアム・リべレーション)」 。リべレーションとは解放を意味し、グアムが旧日本軍から解放されて74年目、という意味です。そして実際に解放されたのは7月21日であることから、毎年この日は解放記念日、リべレーション・デー(Liberation Day)と呼ばれます。
今年も7月はさまざまなイベントが開催されましたが、今回はメインイベントである7月21日に行われたリべレーション・デー・パレードの様子をレポートします。



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今年も華やかに盛大にパレードが開催されました!



解放記念日がある7月はさまざまなイベントがグアム各地で開催されます。その中には戦時中、多くのチャモロ人が命を落とした場所での慰霊式典なども含まれます。今年の7月21日(土)に開催されたパレードでは、グアム経済を支える地元企業、グアムで暮らす各国の移民によるパフォーマンス、今グアムで人気のフードトラック、そしてLGBT(Lesbian, Gay, Bisexual and Transgender)の参加などがあり、戦後のグアム経済の成長、社会の成熟など、多くの悲しみを乗り越えて発展した現在のグアムの姿を見ることができます。
スペインの統治時代にカトリックの島になったグアムでは、「罪を憎んで人を憎まず」という精神が今も生きていて、現代になってからグアムを訪れる日本人観光客に対する反日感情はありません。実際に、このパレードを見に行く日本人観光客も年々増えてきており、平和の祭典としての盛り上がりを見せています。



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グアムの経済を支える地元企業も多数出場。
こちらはフォアモースト(FOREMOST)という飲料を取り扱う会社。
缶コーヒーや紙パックジュースを無料で配布し、多くの人が集まっています。



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ウィークリーグアムでも度々ご紹介していますが、
グアムは多くの移民が暮らす島。
まずはフィリピンコミュニティーによるパフォーマンス。



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韓国人在住者が披露したコリアン・マーシャルアーツは
多くの観客に囲まれ、
技を決める度に大きな拍手が贈られました。
さまざまの国の統治を経て、アメリカ準州となったグアム。
グアムの人々の、人種の壁を感じさせない温かな眼差しは
このような長い歴史によるものかもしれません。



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同じチャモロの祖先を持つロタ島からもフロート(山車)が登場。



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そしてこちらはミクロネシアの島々出身の人たちによるパフォーマンス。
ステージでパレードを鑑賞するグアム準州知事、
エディー・バサ・カルボ(Honorable Governor Eddie Baza Calvo)氏に、
シャカオというお酒のような伝統の飲み物が贈られました。



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こちらの可愛いトラックは今、グアムで人気の
かき氷のフードトラック。
時代によってパレードの内容も大きく変わります。



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虹色の旗をかざしながら登場した、LGBTの彼女たちも新鮮です。
年に一度のこのパレードでは、
刻々と変化するグアムの社会を見ているような気がします。



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パレード後半は各村によるフロートが登場。
どのフロートも今年のテーマ
「STRENGTHENING THE SPIRIT OF GUAM
(グアムスピリットを高めていこう)」
を掲げ
村長はじめ村人たちがアイデアを出しあって手作りしたフロートは
パレードの見どころの1つでもあります。



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フロートから煙が出ている!と思ったら豚の丸焼き!
これは今も昔も変わらないグアムの姿!



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各国のパフォーマンスに負けずチャモロダンスを披露。



これらの他にも、アメリカ軍による行進や、アメリカ軍入隊を目指す高校生によるパフォーマンス、ボーイスカウト、グアム・テリトリアル・バンド(Guam Territorial Band)などがパレードを華やかに彩りました。



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今年は時折スコールにも見舞われ、
傘をさしての鑑賞となる時もありましたが、
1.6kmに及ぶパレードコースにはたくさんの人々が集まりました。



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テーブル、椅子、たくさんのフードとドリンクも
持参して鑑賞していましたよ!



毎年恒例のリベレーション・カーニバル(Liberation Carnival)は、今年からリベレーション・フェスティバル(Liberation Festival)と名称を変え開催され、グアム・テリトリアル・バンドによるリベレーション・コンサートも多数開催されました。またチャモロ人が多く住むカリフォルニア州サンディエゴなどでも関連行事が開催されたようです。来年のこの日まで、グアムが平和で、ますます発展していってほしいですね。