
グアムの長い歴史の中で最も大きな転換期となったのは、1521年3月6日のポルトガルの冒険家フェルディナンド・マゼラン(Ferdinand Magellan)一行によるグアム上陸。これにより数千年続いた古代文化は終わりを迎え、生活様式や信仰などが西洋化していきます。そしてそれは現代のグアム、現代のチャモロ文化の礎となっていくのですが、同時に古代の文化は衰退の一途をたどります。
自分たちの祖先に敬意を表し、彼らが数千年に及ぶ暮らしの中で築き上げた文化を知り、学び、後世に伝えることの必要性が説かれたのは1970年代。グアム政府はチャモロ語をはじめとするチャモロ文化の復興と継承を目的に3月をチャモロマンス(CHamoru Month)に制定します。以降、毎年3月はグアム各所でチャモロ文化に関するさまざまなイベントが開催されます。
その中でメインイベントは3月第一週末にウマタック(Humåtak)村で開催される『グアムヒストリー&チャモロヘリテイジデーフェスティバル(Guam History & CHamoru Heritage Day Festival)』。今年は2月28日(金)から3月3日(月)にかけて開催されました。
ウマタック村と聞いてその場所をすぐに思い浮かべることができるツーリストは少ないでしょう。ウマタックは島の南西部に位置する小さな村で、このかわいらしい橋のある村と言えばわかる人もいるのでは。こちらはウマタック橋と呼ばれ、建造されたのは1980年代で歴史建造物ではありませんが、スペイン統治時代を思わせる観光スポットのひとつです。
1521年マゼラン一行がグアム上陸を果たした場所は諸説ありますが、有力説はウマタック湾。イベントはこの穏やかなウマタック湾で開催され、ここにはマゼラン上陸記念碑も建立されています。
ステージではチャモロダンスが披露されたり、チャモロシンガーやバンドによるパフォーマンスがあったり、賑やかに盛り上がります。
イベント期間中は雨・風・青空を繰り返す安定しない空模様が続きましたが、それでも多くの人が集まり、最終日には青空に恵まれました。
グアムにはいくつものチャモロダンスグループがありますが、どのグループも小さな子供から彼らのお母さん世代、おばあさん世代と年齢層が幅広く、チャモロ文化が若い世代へ継承されているのを見ることができます。
上写真の子供は、かつては衰退が危ぶまれていたチャモロ語で素晴らしい歌を披露してくれました。
イベントの目玉はマゼランが上陸した様子を再現したパフォーマンス。上写真は今年のものではありませんが、このように自然とともに生きていた古代人の前に巨大な船が現れてさぞかし驚いたことでしょう。マゼランたちはその日から3日間グアムに滞在して船を修理し、そして1565年スペインがグアムの領有権を宣言するのです。
イベントにはたくさんのフードトラックや屋台が登場。上写真のような、古くからチャモロに伝わる貝や動物の骨で作られたアクセサリーも販売されました。このシナヒ(Sinahi)と呼ばれる三日月型のネックレスは、チャモロを誇りに思う男性に今なお愛され続けています。
タモンのいくつかのホテルでは、ツーリストの皆さんがチャモロマンスを楽しむためのイベントを用意しています。
ホテルニッコーグアム(Hotel Nikko Guam)ではカラバオライドやココナッツの葉編み体験など。パシフィックアイランドクラブグアム(Pacific Islands Club Guam)ではチャモロダンスショーなど。ヒルトングアムリゾート&スパ(Hilton Guam Resort & Spa)のブッフェレストラン「アイランダーテラス(Islander Terrace)」では3月の毎週土曜日のランチタイムにチャモロ料理を中心としたブッフェを開催します。
3月にグアムに来たらぜひツーリストの皆さんもチャモロ文化に触れてグアムらしい体験をお楽しみください。