築100年を超えるスペイン風建築物や昔ながらの高床式の古い家などが今なお残る、グアム島南部のイナラハン村。人々の暮らしも穏やかで、本来のグアムらしいのんびりとした時間が流れるエリアです。 このイナラハン村にあるグアム歴史村 イナラハン・ゲフパゴ公園では、そんなグアムの姿を後世にまで残そうと、様々なワークショップやイベントが開催されています。毎年2月には「ディニャナ・ミナゴフ チャモロダンスフェスティバル(Dinana Minagof Chamorro Dance Festival)」、5月には「ココナツフェスティバル(Coconuts Festival)」が開催され、今回私が訪れた「第5回ストーリーテリングフェスティバル」も、そんな恒例のイベントのひとつです。

海に面したグアム歴史村 イナラハン・ゲフパゴ公園。 中に入ると、タイムスリップしたかのような静かな時間が流れます。

「第5回ストーリーテリングフェスティバル」では、およそ100年ほど前から戦後までの人々の暮らしが紹介されていました。若い男性が愛する女性の両親の元へ、結婚の許しを乞いに行く様子を歌による劇で再現していたり、年配の方たちが幼い頃の記憶を頼りに、戦前戦後のグアムの日常生活を話したりしていました。訪れていた人の多くが地元の方たちでしたが、公式な記録には残りにくい村人たちの日常生活、素朴な思いなどは、このような機会に是非語り継がれていってほしいものです。

「ザ・ストーリー・オブ・コートシップ&マリッジ(The Story of Courtship and Marriage)」 と呼ばれる劇では、グアムの婚約、結婚を題材にしています。 事前に行われたリハーサルの様子は翌日、地元新聞で大きく取り上げられました。

参加した人々は、地元の年配者の幼い頃の話に 耳を傾け、静かに聞いていました。

その後は、グアムの伝統文化を用いた様々なレクリエーションが行われました。 伝統の投網漁法で用いる漁具「タラザ(Talaya)」を実際に投げてみたり、ココナツの皮を剥いで身を削ったり、「トゥバ(Tuba)」と呼ばれるココナツから作られたお酒を飲んだりなど、様々な企画が用意されていました。参加したのはほとんど地元の方たちばかりでしたが、率先して若い子が挑戦してみたり、偶然訪れた観光客も参加してみたりなど、ここでしか味わえない体験に会場は賑わいを見せていました。

こちらは「タラザ投げコンテスト」の様子。 地面に置かれたココナツをめがけて、タラザを投げます。 網の周囲には重りが付けられていて、一見軽々投げているように 見えますが、実際は結構重いようです。

タラザに覆われたココナツの数を競います。 投げ終わると、MCやスタッフがココナツの数を数えます。

ローカルの若者もタラザ投げに挑戦。 予想以上の重さに驚かれていましたよ。

次は、用意された5個のココナツの皮を剥ぎ、中の身を削るコンテスト。 2人で1組となり、計3組が参加していました。 そのうちの1組は、なんと女性によるペアでした。 ココナツに棒を突き刺し皮を剥いでいきますが、 思った以上に「力」と「コツ」のいる作業で、皆さん苦戦していました。

ココナツの皮を剥ぎ終わった後は、棒で中の身を叩き割り 「カムズ(Kamyu)」と呼ばれる道具を使ってココナツを削ります。 その頃には皆さん、ハァハァと息を切らしながらの作業。 写真では分かりづらいですが、手前の男性は汗びっしょり!

それぞれのコンテストの勝者には、プレゼントが用意されていました。 皆さん、子供に戻ったように夢中で頑張っていましたよ。

最後は、ココナツで作られたお酒「トゥバ」の早飲みコンテスト。 吊り下げられた竹筒に入ったトゥバを、手を使わずにいち早く飲み終わった人が勝ちです。 若者が棄権していく中、赤いTシャツを着た男性が勝利! おめでとうございます!

とってものんびりとした手作りの素朴なイベントですが、このようにレクリエーションを楽しみながらグアムのカルチャーを体験できるのは魅力的ですね。ツーリストの方ももちろん参加できますので、是非次回は参加してみてくださいね。

とことん「グアム時間」で、タイムスケジュールが用意されていても中々思うように進行しないというのもグアムの特徴のひとつ。いつ始まるか分からない次のイベントまでは、南国の潮風に吹かれながら芝生に座り、のんびり寛いで過ごすのもオススメ。

グアム歴史村 イナラハン・ゲフパゴ公園では、イベントが開催されていない時でも中に入ることができますので、是非グアム観光の途中に立ち寄ってみてくださいね。