グアムには5,000名ほどの邦人が暮らしています。その中には、転勤で数年間という期間限定で、ご家族と共にグアムで暮らしている方も多くいます。日本の年度末にあたる3月は、そんな転勤族の皆さんとのお別れの季節でもあります。毎年、この時期に行われるお別れ会では、グアムの伝統料理がよく振る舞われます。
今週は、そんなグアムの伝統料理の中から、日本人の口に合うと言われているチャモロ料理の代表格、「チキン・ケラグエン(Chicken Kelaguen)」の作り方をご紹介いたします。
この日の集まりは、日本に帰るお子様のお別れ会でした。
チキン・ケラグエンは子供も大好きな料理です。
今回は子供向けに、あえて唐辛子を入れずに調理してみました。
■チキン・ケラグエンの材料:(8~10人)
・鶏肉 1羽
・レモン汁 1/2カップ
・塩 テーブルスプーン1杯
・玉葱 1/2個
・青ネギ お好み
・ココナツ お好み
・唐辛子 お好み
チキン・ケラグエンはチャモロ料理の定番中の定番です。細かく刻んだ鶏肉と玉葱をレモン汁と塩で味を整えるだけのシンプルで簡単な料理です。トリティアを添えれば前菜となりますし、グアムの主食のレッドライスとの相性も抜群です。常夏のグアムではやはり酸味と辛みが欠かせません。そんな風土が育んだ味といえるでしょう。
パーティーのブッフェにはトルティアと
チキン・ケラグエンが並んで置かれています。
まずは、鶏肉1羽に塩を振って、170度程度で1時間、オープンで焼きます(1)。
下の写真で紹介するような専用グリルがあれば、常時回転するのでまんべんなく表面が焼き上がり、便利です。鶏肉は茹でたり、バーベキューにしたりする人もいます。グアムの人が一番好むのは、鶏肉をバーベキューするやり方です。こうすると表面の皮が香ばしく焼き上がるからです。一方、鶏を茹でると香ばしさはなく、あっさりとした味わいになります。
我が家で大活躍しているグリル。
タイマーを1時間でセットすれば自動的に切れるので、
手間いらずでとても便利です。
焼き上がった鶏肉は、約30分かけて冷まします。鶏肉を骨から取り、小さくほぐします(2)。
そして、ほぐした鶏肉をさらに包丁で細かく刻みます。玉葱はみじん切りにして、レモンは約4個を絞ります(約1/2カップ)(3)。
材料は基本的にこれだけです。
刻んだココナツや彩り用の青ネギ、唐辛子はオプションです。
上の写真の材料を混ぜ合わせて、最後に塩を1テーブルスプーン入れます(4)。
そして青ネギで色を足し、お好みで唐辛子も入れて下さい(5)。
刻みココナツを入れる場合には、このタイミングで。最後に味見をして、塩やレモン汁をお好みで足したら出来上がりです(6)。
なお、ケラグエンに添える「トルティア(tortilla)」とは、中米発祥の薄焼きパンのことです。
のちにスペインに伝わり、グアムでは古くから家庭で作られてきましたが、今ではスーパーやコンビニエンスストアでトルティアが売られているので便利です。ローカルのパーティーなどではチキン・ケラグエンに、トルティアが添えられているのをよく見かけます。
ケラグエンは、チキンの他に海老、ビーフ、魚などを使ったものもグアムでは一般的です。
以前WEEKLY GUAMで紹介したグアムスーパークッキングブックでは、シュリンプケラグエンの作り方が紹介されています。ここでは、もうひとつ「ビーフ・ケラグエン(Beef Kelaguen)」の作り方を簡単に紹介いたしましょう。
火を使わずにできる簡単料理です。
ビールのおつまみに最適ですよ。
■ビーフ・ケラグエンの材料(4人分)(できあがり写真は1人分程度)
・フランクステーキ 1切れ
*「フランクステーキ」とは、牛のわき腹肉のことです。
・玉葱 1/4個
・レモン 3~4個
・青ネギ お好みで
・唐辛子 お好みで
・塩 少々
材料はたったのこれだけ。
チキンがビーフに変わっただけであとの材料は同じです。
■ビーフ・ケラグエンの作り方
(1) フランクステーキの切れ目に、垂直に3ミリ程度の千切りにします。
(2) 肉を塩もみし、数分寝かせ、さっと水洗いします。
(3) 肉にタマネギの千切り、またはみじん切りを入れます。
(4) レモン汁を肉が全体に浸かる程度入れます。
(5) 冷蔵庫に入れて30分ほど待ちます。赤身の肉がグレーになれば出来上がり。
(6) お好みで青ネギと唐辛子を混ぜ食卓へ。
最後に、もう一品紹介いたしましょう!ココナツの歯ごたえとモチモチ感が美味しいデザートである「キャッサバ・ケーキ(Cassava Cake)」です。
キャッサバというのは芋の一種の名称で、日本ではあまり馴染みがありませんが、タピオカの原料となる植物です。こちらの材料を混ぜて焼くだけの簡単なスイーツです。
キャッサバやココナツは、アジアンフードのお店や通販などで購入できます。
こちらの入れ物は20cm角ほどの耐熱トレイです。
■キャッサバ・ケーキの材料(4人~10人分)
・おろしキャッサバ(Grated Casava) 2袋
・スライスヤングココナツ(Shredded Young Coconut) 2袋
・ココナッツミルク 1缶
・コンデンスミルク 1缶
・卵4個
・砂糖 1カップ
■キャッサバ・ケーキの作り方
(1) 大きめのボールを用意して材料をすべて入れます。
(2) しっかり材料を混ぜ合わせます。
(3) オーブン用のトレイに材料を流し込みます。
(4) 温度300度で約1時間から1時間半。
(5) キャラメル色に焼き上がればできあがり。
(6) 常温で冷ましてテーブルへ。
以上、どれもオススメのグアムの美味しい伝統料理でした。
特に、モチモチしたキャッサバ・ケーキは、日本のお子様にも、おやつとしてとても喜ばれると思いますよ。皆さんも、日本で一度お試しになってはいかがでしょうか?