さる2月14日(日)、「グアム歴史村 イナラハン・ゲフパゴ公園(Guam Historical Village at Gef Pa'go Park in Historic Inarajan)」にて恒例の「ディナニャ・ミナゴフ・チャモロダンスフェスティバル(Fiestan Dinana' Minagof)」が開催されました。いちばんの見どころになったのは日本を拠点に活動する「ファマグウン・タノ・ザン・タシ(Famagu'on Tano' yan I Tasi)」というグマによるステージ。グマとはチャモロ語で「家」を意味し、現在では「チャモロダンスマスター」の称号を持つフランシスコ B.ラボン氏(Mr. Francisco B. Rabon)から認定されたダンスグループを指します。ファマグウン・タノ・ザン・タシは、ダンサーとミュージシャンのほとんどが教員を目指して帝京大学で学ぶ大学生たちという異色のグマ。ハイレベルの踊りや歌、そして何よりチャモロ文化への愛情とハートを込めた演技で観客を魅了しました。



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ファマグウン・タノ・ザン・タシは
チャモロ語で、『大地と海の子ども達』を意味します。
「チャモロダンスマスター」の称号を持つ
フランシスコ B.ラボン氏(Mr. Francisco B. Rabon)の傘下で活動する
日本を拠点にするグマの一つです。



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椰子の実を楽器のように重ね
リズムを取って華やかに舞う演出は、
西洋文化を取り入れた時代の
グアム島民の心はずむ気分を表現しています。



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チャモロダンスは大きく分けて3種類ありますが
その一つに「スパニッシュ」があります。

スペイン統治時代をテーマにした華やかでリズミカルな踊りが特徴です。
衣装もご覧の通りフリルやレースを使った「ミスティーシャ」と呼ばれる、

グアムの民族衣装を纏います。



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ファマグウン・タノ・ザン・タシの
代表を務めるのは帝京大学教授の中山京子先生(前列中央)。
ダンサーたちは中山先生が主宰する
「国際理解教育ゼミ」の学生さんたちです。



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「チャント(Chant)」と呼ばれる詠唱で踊る
古代のチャモロダンスは「アンシェント」と呼ばれます。
椰子の葉を編んだスカートが代表的です。



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「アンシェント」の特徴的な舞いのひとつ、
棒を持って踊るスティック・ダンス。
たくましく力強い生命力に満ち溢れたダンスは迫力満点です。



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歌や演奏もすべて学生が担当します。
歌はもちろんチャモロ語です。



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ステージの後半には「コンテンポラリー」と呼ばれる
創作ダンスが披露されました。
戦時中の日本兵に扮する若者がチャモロ人に
危害を加えるシーンが演じられ、
和やかだった会場が一瞬にして張りつめの空気に変わりました。



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歴史に向き合い学びを深めようという学生たちの気持ちは
ローカルの観客の心に届いたようです。
会場は歓声と拍手に包まれ、
ステージ終盤には学生達は感極まって涙ぐんでいるようでした。



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ファマグウン・タノ・ザン・タシは
グアム滞在中には戦争の歴史を伝える場所を訪れたり、
戦争体験者から話を聞くなど、
草の根の国際交流を続けています。



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基本的に学生達はバイト代などで活動費や旅費を賄います。
そしてグアム滞在中の費用集めには
クラウドファンディングを利用しました。
多くの賛同者があったようで、
見事に目標額を達成していました。



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ステージの傍らではローカルアーティストが手作りアクセサリーを
販売するブースも店を開いていました。



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葉編みを体験できるコーナーもあり、
ローカルの若者がマンツーマンで指導してくれます。



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小さなお子さんに人気のあるのがココナツシェルゲーム。
ココナツシェルを選び、中に現れた色に該当するおもちゃから
好きなものを選べるというものです。



ファマグウン・タノ・ザン・タシを指揮する中山京子先生は、2009年にスタートしたグアム政府観光局主催のチャモロダンスワークショップ「グアム チャモロダンス・アカデミー」の第一期生でした。
アカデミーの参加者は累計で1,500人を超え、日本におけるチャモロダンスの知名度もようやく、少しづつ高まってきています。そして今ではグアムのさまざまなイベントに登場するようになった日本人によるグアムチャモロダンスグループのレベルも上がり、日本人らしい舞台構成や演出、コスチュームなど楽しみも増えています。今年も、日本国内で年間あわせて10日間に及ぶ「グアム チャモロダンス・アカデミー」のワークショップが予定されています。参加者を募集していますので、詳しくはhttp://www.visitguam.jp/academy/をご覧ください。