米国領でありミクロネシア地域でもっともアメリカナイズされているグアム島。そんなグアムでも、ビートルナッツという木の実を噛むローカルの昔からの慣習が残っています。日本語では檳榔樹(ビンロウジュ)、植物学的には椰子の一種です。世界でビートルナッツを楽しむ人は多く、ミクロネシアだけではなく、インド、東南アジア、メラネシア方面までこの慣習がみられます。
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まずは、若い緑色のプグァ。
歯で簡単に割ることができ、開くと朱色のみずみずしい実が入っています。そこへ貝殻や珊瑚から作ったアフック(石灰粉)をほんの少し振りかけます。そして、皮ごと実をププル(胡椒科のキンマの葉)で包んで、奥歯でゆっくりと噛み締めます。渋い実を噛みつづけると、やがて顔が火照って気分がふわっとなり赤い唾液が口に溜まってきます。この赤色は大変取れにくく歯も染まるほどなので、公共の場で吐き出したりするのは厳禁です。
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そして熟して太り黄色くなったプグァ。 これは簡単には割れませんので専用バサミが必要です。中にはすっかり硬化したエンジ色の実が入っています。黄色い実を噛むときはこの皮を取り除いた中の固い実だけを噛むか、ププルを一緒に噛みます。唾液は赤くならず、口の中がただれることはありません。
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日用品がなんでもおいてある小さな商店のことを島では一般にPapa & Mama Storeと呼ぶのですが、そこでは青い実の3点セットや、ペットボトルに詰められた固く熟した実が売られているのを見かけることでしょう。