スペイン統治時代の影響を受け、カトリック教徒が大多数を占めるグアムでは、クリスマスはとても大切な祝日です。家中を煌びやかに飾ったり、パーティーの準備にと大忙しですが、クリスマスグッズの売場に足を運ぶと必ずイエス・キリストの誕生をイメージした商品を見つけることができたり、各家庭にマリア像が掲げられるなど、宗教的な意味合いもきちんと残されているイベントです。またキリストが残した教えに則り、ボランティアが最も活発に行われるのもこのシーズン。自分だけでなく、グアムの人々、世界の人々みんながクリスマスを心豊かに過ごせるよう、全島各所でさまざまな活動が行われます。その光景もグアムのクリスマスならではの一コマです。



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華やかなクリスマスイルミネーション。
すべての人が素晴らしいクリスマスを迎えられるよう、
多くの人がさまざまなボランティアに参加しています。



上の写真は11月29日(水)、ハイアット リージェンシー グアム(Hyatt Regency Guam)で開催されたクリスマスイベント「ジンジャーブレッド・ハウスウォーミング(Gingerbread Housewarming)」のワンシーン。頭上から人工雪が降り、集まった子供たちは歓声をあげ、温かな雰囲気に包まれました。これはハイアット リージェンシー グアムによる毎年恒例のイベントで、欧米のクリスマスシーズンには欠かせないお菓子、ジンジャーブレッドで作った家にデコレーションを飾り、中に灯りを点してクリスマスを祝うイベントです。



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ジンジャーブレッドハウスの壁面を飾るのはクッキー。
クッキーを購入したお金はボランティア団体に寄付されます。



ジンジャーブレッドハウスに飾るクッキーは1枚$5で販売され、子供たちが名前を書いたり、絵を描いてからハウスに貼り付けます。一見、華やかなクリスマスイベントですが、クッキーの売り上げは全額、メイク ア ウィッシュ(MAKE A WISH)という、難病と闘う世界の子供たちをサポートする国際ボランティア団体に寄付されます。今年は約500枚のクッキーを用意し、ほぼ完売。約$2,500を寄付することになりました。楽しい時間を過ごしながら人々の助けとなることで、毎年多くの家族連れで賑わうイベントです。



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大人の背丈を越える大きなジンジャーブレッドハウスの壁面すべてに
子供たちによるクッキーデコレーションが施され、
合図とともに灯りがともされました。



クリスマスシーズンの欧米の子供たちに人気のジンジャーブレッドハウスですが、家は家族の象徴、幸福のシンボルとされ、クリスマスに家族が家に集まり、幸せな時間を過ごすことに由来するそうです。クッキーの購入を通して集まった寄付金が一人でも多くの子供たちの幸せに繋がればと思います。



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子供たちはもちろん、高齢者にも素敵なクリスマスプレゼントが届くよう、
今年もNPO団体、シュガーパームツリーが活動しています。



上の写真はシュガーパームツリー(Sugar Plum Tree)というNPO団体が行う寄付活動のポスターです。家を美しくデコレーションし、プレゼントを買いに走る人がいる一方、家族の団欒やプレゼントなどの喜びも楽しみもなく、クリスマスを迎える人も少なくありません。この活動は、そんな彼らが必要としている物、欲しい物を地域の人々がクリスマスプレゼントとして贈るというもの。グアム政府官邸やバンク オブ ハワイ(Bank of Hawaii)などに置かれたクリスマスツリーには、子供たちや高齢者によるたくさんのウィッシュリスト(Wish List / 願い事リスト)が吊るされ、人々は自分が協力できる内容のリストを選び、書かれた商品を購入し、リストを受け取った場所に届けます。



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新聞でも大きく取り上げられるほど
シュガーパームツリーによるこのボランティア活動は
グアムに深く根付いています。



シュガーパームツリーによるこの活動は過去33年にわたり続けられており、10月にはその年のクリスマスに向けて活動をスタート。グアムの日刊紙、パシフィック デイリー ニュース(Pacific Daily News)でも、活動開始のニュースは大きく取り上げられました。昨年は750以上ものウィッシュリストが吊るされ、今年はさらに多くのリストが吊るされたそうです。11月末にバンク オブ ハワイを訪れると、クリスマスツリーにウィッシュリストは1つも残されていませんでした。人々がリストに書かれた願いをかなえるべく、ツリーから外されたのです。届けられた商品は12月13日(水)にボランティアによりラッピングされ、後日リストの書き手に贈られます。


その他にもお食事やショッピングに出かけると、さまざまな活動を目にすることができます。マイクロネシアモール(Micronesia Mall)、グアムプレミアアウトレット(Guam Premier Outlets / GPO)、Kマート(Kmart)などのショッピングスポットで見かける募金活動はその代表的なもの。集まった寄付金は、さまざまな慈善団体等を通して、助けを必要とする人たちへ贈られます。



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こちらはサルベーションアーミーの寄付金活動。
GPOの前で行われていました。
サルベーションアーミーはイギリス発祥の、
世界各国で活動する慈善団体です。
チリンチリンと鈴を鳴らし、
ショッピングに訪れた人たちに寄付を呼びかけます。



またショッピングをしていると店の隅に大きな箱が置かれているのを見かけるかもしれません。これはクリスマスドロップと呼ばれ、集まった商品は必要とする人々の元に届けられます。



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こちらはペイレス スーパーマーケット マイクロネシアモール店に置いてある箱。
箱には「オペレーション・クリスマス ドロップ
(Operation Christmas Drop)」と書かれています。



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「オペレーション・クリスマス ドロップ」は
1952年から続くアメリカ軍の正式な活動です。
設置された箱には軍関係者が集まった物資を
箱詰めしている様子を紹介し、
この活動は「グアムに配属された空軍・海軍関係者、
そしてグアムの人々による協力の下に
行われています」と書かれています。



クリスマスドロップの箱には、届け先に応じて寄付してほしい物品内容を記していることが多く、「オペレーション・クリスマス ドロップ」の箱には、ペンやクレヨンなどの学用品、子供向けの本、野菜の種、オーラルケア商品、衣類や靴、サングラス、釣り道具、缶詰フード、そして「Toy - A must!!!(おもちゃは必ず!)」と書かれています。集められたこれらの生活物資は、大きな産業がなく、生活必需品を島外からの輸入に頼らざるをえないミクロネシアの島々の上空に運ばれ投下。おもちゃは子供たちに笑顔をもたらし、島の人々の暮らしを支えています。



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こちらは別のスーパーに設置されていた
「オペレーション・クリスマス ドロップ」の箱の中。
スーパーで購入したばかりの商品が、
スーパーの袋にそのまま入って寄付されています。
家の不要品を持ち寄るのではなく、
購入して新品を寄付するスタイルが基本です。



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こちらは先日の
パシフィック デイリー ニュースで紹介されていた
アカデミー オブ アワー レディー オブ グアム
(Academy of Our Lady of Guam)という
カトリックスクールでのボランティア活動の様子。



各村にカトリック教会があり、教会と隣接して立つカトリックスクールも多いグアム。 炊き出しや生活物資の配布など、この時期だけでなく、年間通して教会が主催する活動も数多くあります。上の写真ではカトリックスクールの生徒たちによる活動が紹介されています。週に2回、ホームレスへ食料や物資を配布しています。この時期は活動にも特に力が入ります。

華やかで煌びやかなクリスマス。たくさんのご馳走とプレゼントに溢れるクリスマス。しかしその一方でグアムの人々は奉仕の精神を忘れることなく、多くの人が何らかの形でボランティアや寄付活動に関わっています。すべての人々に幸せなクリスマスが訪れるよう、活動は内容によってクリスマスまで続きます。