1900年代前半の稲作の様子
(写真提供:Guam Pedia:http://guampedia.com)
スーパーに足を運べばズラリと並ぶさまざまな缶詰。これはアメリカを象徴するような光景です。
さて前置が長くなりましたが、大昔のチャモロの生活はもちろん100%自給自足。そして各国の統治下
に置かれながらも、第二次世界大戦以前までは農業や漁業、そしてココナツから取れるコプラの輸出も
盛んに行われていたと言われています。
1900年代前半、タラザと呼ばれる伝統のフィッシュネットで魚を捕る漁師
(写真提供:Guam Pedia:http://guampedia.com)
1900年代前半のコプラ産業。
大量のココナツから胚乳部分を乾燥している様子。
(写真提供:Guam Pedia:http://guampedia.com)
そして戦後、焼け野原となったグアムにもたらされたものは手軽で便利な食文化。
先に述べた缶詰をはじめ、ファーストフードや冷凍食品などがグアムに入ってくると同時に、農業、漁業は廃れ、残念ながらこれだけ豊かな自然に囲まれていながら、現在のグアムは80~90%を輸入品に頼っているのが現状です。
今回紹介するのはそんなグアムの現状を背景に、農業に励む人たちの姿です。
島民の60%以上が観光業に就いていると言われるように、グアムの経済を支えるのは観光業。
しかし、グアムの気候に合った新鮮な野菜や果物は、どんなに進んだ技術で作られた缶詰より、また手軽で簡単なファーストフードより、ずっと美味しいはず。メイドイングアムの野菜や果物、そして農場にお邪魔してきました。
手前の土の部分は種まきが終わったところ、奥は今が収穫期
この広いトウモロコシ畑。
グアムの人なら誰でも知っている、バリガダ村の道沿いのトウモロコシ屋さんの畑です。
そのトウモロコシ屋さんのことは知っていても、デデド村にこんな広大な畑(広さは60エーカー!)があることは、ローカルにもあまり知られていません。オーナーのアーニーさんは、2人の息子と共にこの畑でトウモロコシを育てています。
オーナーのアーニーさん
採れたての新鮮度100%のトウモロコシ
彼が作るトウモロコシは甘くてシャキシャキしていて、とっても美味しい。とれたての新鮮な
トウモロコシは生でも食べられるってご存知でしたか?輸入品では味わえない美味しさですよ!
こちらはバリガダ村に住むアイクさん。
バジル栽培をするアイクさん
これはアイクさんが栽培するバジル。
ズラリと並ぶバジル畑の鉢植え
病気になるのを避けるために地面には植えず、鉢植えで栽培しています。
天火干しをする土
土は天火に干し、消毒もします。手間暇かけて一鉢一鉢に愛情を注ぎます。
これらのバジル、実は皆さんが口にする機会もあるんですよ。
ホテルと契約を結んでいて、ここからホテルへ直送するからです。
乾燥バジルとは比べ物にならないほど香りがよく、サラダ、ピザ、パスタにと、大活躍です。
グアムに7店舗を構えるレイペススーパーマーケットに並ぶバジルも、アイクさんの手によるものです。
チャイブにも愛情を込めて
たわわに実るカラマンシー
他にもハーブはレモングラスやチャイブ、そしてローカル料理に必須のカラマンシー、
グレープフルーツなどの柑橘類なども育てていて、これらがローカルの食卓を彩ります。
バナナ畑
さてこちらは島南部のウマタック村にあるバナナ畑。畑に入る時は神に感謝の祈りを捧げてから入ります。
グアムや北マリアナ諸島に伝わる「タオタオモナ(祖先の霊が宿るジャングルや木々に祈りを捧げる
儀式)」の精神と同じですね。
オーナーのマリーンさん
オーナーはグアム大学で教壇に立つマリーンさん。
もともとは家族の楽しみのために始めたバナナ栽培。今では1カ月1200ポンド(約455kg)
のバナナを収穫し、島内のファーマーズマーケットなどで販売しています。
木にぶら下がるバナナ
バナナってこんなふうに木になるんですよ。ご存知でしたか?
他にもグアムでとれた新鮮な野菜やフルーツは、毎週末デデド村で開催される朝市でも買うことが
できます。輸入品に押されてはいる今日でも、多くのローカルが、朝市や道沿いで見かける八百屋さんに足を運んでいます。
グアムでもっともっと新鮮な野菜や果物が日々の食卓を飾ることを願う、
私もそんなローカルの一人です。