5月30日(日)「インターナショナル ココス・クロッシング」という大会が開かれました。 これはグアム島の南に位置するココス島から向かいのグアム島メリッソ村までの3.5kmを泳ぐ、オープン ウォータースイミングという競技。プールで泳ぐのとは違い、天候、潮の流れなどの知識も必要で、 ただ速く泳ぐだけでは優勝できない、厳しい自然相手のスポーツです。 2008年の北京オリンピックから、夏季オリンピックの正式競技にもなりました。四方を海に囲まれたグアムでは、以前からスポーツとして定着していて、今大会は20回目の記念大会です。
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6時過ぎには参加者やボランティアがココス島に到着。今大会の参加者は総勢188名。そのうち31名は日本からの参加です。男女別、年齢別に用意された各賞めざして、がんばってください!! 天気は晴天。波も穏やか。オープンウォータースイミング日和です。さていよいよスタート 。 7時20分、大人も子供もみんな一斉に水しぶきをあげて泳ぎ始めました。その迫力はなかなかのもの!約200名もの参加者が一斉にスタートできる地形は珍しいため、ココス島は大会を開催するのに最高の ロケーションだそうです。皆さん無事にメリッソ村まで泳いでくださいね!メリッソ村で待ってます!
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スイマーはしばらく泳ぎ始めると、順調にメリッソ村に向かうチームと、左にそれていくチームの二手に 分かれ始めました。これがオープンウォータースイミングの面白くもあり、難しいところ。オープン ウォータースイミングで一番大切なことはコース取り。目標に向かって最短距離で泳ぐことが勝つことへの条件です。しばらくすると、コースをそれたチームも軌道修正し、全員がメリッソ村に向けて泳ぎ出しました。 コース取りの重要性の他に、参加者たちにとって大変なのは、時間と共に変化する波や潮の流れ。ここは「ココスラグーン」と呼ばれる美しい珊瑚礁エリアですが、スタート時には波も穏やかで静かな表情を見せていても、日が昇り時間が経つにつれ、波やうねりが出てくることで知られています。このような海の状況も知っておかなければこのレースを制覇することはできないんですね。
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写真提供:ココスアイランドリゾート
しかし、ココスラグーンは太陽の光が差し込む熱帯魚の宝庫。運が良ければウミガメに出会うこともあり、海のさまざまな生物を見ながら泳ぐことができます。選手たちは、余裕があれば水族館を泳いでいるような気分を楽しんでいるかもしれませんね。こんな経験、グアムに住んでいてもなかなかできるものではありませんよ。
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写真提供:ココスアイランドリゾート
さて、メリッソ村でゴールを待っていると、やってきました!トップスイマー。 地元のスイミングクラブの男の子Ken君。39分51秒で大会新記録です!
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選手がゴールする度に、大きな拍手と歓声で盛り上がります。 そんな中、日本人スイマーも大健闘!シニア部門で入賞です。おめでとうございます! 3.5kmを泳いだ後とは思えない清々しい笑顔。スポーツを楽しむ人は見ていて気持ちいいですね!
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最後に、ココス島周辺の海の秘密をもうひとつお話しましょう。 時は17世紀。まだグアムがスペインの統治下にあった時のことです。当時、南米・アジア間の貿易が 盛んで、南米からは銀や鉄、アジアからはシルクやコットン、陶磁器などが輸出入されていました。 その中継地点となったのがグアムです。 ある日、マニラへ向かっていたビラール号がウマタック湾に寄港する際、誤ってココスラグーンの珊瑚礁に衝突、座礁してしまいます。乗組員は救助されたものの、船は時間の経過とともに次第に海へ消えてゆきました、高価な銀製品と共に...。他にも多くの財宝があったかもしれません...。 そして時は現代、そんなココス島海底に眠った沈没船の発掘、お宝探しのニュースが時々世間を騒がせています。実際1900年代にはダイバーと写真家により数枚の銀貨が発見されていますが、その後は台風などで調査は打ち切られ、いまだお宝は海の底...。「ココス・クロッシング」で奮闘する選手たちを見ていると、当時の船の乗組員たちも選手と同様、さまざまな海の条件に操縦を狂わされたたのかもしれないな、なんて考えてしまいます。 選手たちが泳いだこの海には、そんな歴史やロマンが秘められているのですね。メリッソ村やココス島を訪れた際には、そんな風に海を眺めても面白いですよ。