皆さんはスリングストーン(Sling Stone)という言葉を聞いたことがありますか?スリング(Sling)とは投石器という意味で、パチンコの要領で石を飛ばすことを意味します。銃などの武器がなかった昔々、世界のさまざまなところでこの投石器が敵との戦に使われたと言われています。
グアムでも古代チャモロ社会で投石器は使われていました。主に狩猟に利用されていたと言われています。グアムの島旗のデザインにも用いられている投石器について、今回はお話します。
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グアムの島旗に用いられている楕円形は投石器を表したもの。
それほど古代チャモロ社会にとって
大きな存在だったスリングストーン。
チャモロ文化を語る時にラッテストーンと同じぐらいよく登場する投石器。グアムでは英語でスリングストーンと呼ばれ、今もなお、古代住居跡などから石の遺物が発見されることがあります。
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これらは島北部のビーチやジャングルで発見された
スリングストーンの石。
特徴的な楕円の形をしています。
古代チャモロ社会で用いられてきたスリングストーンですが、実は現代では特に男性の間でゲームとして人気があるようです。石を的に向かって投げ、点数を競うのです。話しを聞いて訪れたのは水曜日のチャモロビレッジ。ナイトマーケットが始まる夕刻、海沿いでバシッ!バシッ!と音がしています。
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訪れたのはチャモロビレッジの南側。
たくさんのボートが停泊するハガニアボートベイスン側で
スリングストーンが行われていました。
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近寄ってみると男性が確かにスリングストーンを振り回しています。
そして10メートルほど先の的に向かって投げ、
見事に命中すると、バシッ!という気持ちいい音が聞こえます。
数ヵ月ほど前から毎週水曜日の夕方に、ここでスリングストーンをしているとのこと。投げる練習をしていることもあれば、ゲームをすることも。この日はみんなで順番に石を投げていました。
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こちらが石を投げるためのロープ。
ココナツの繊維で作られています。
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ちらは石。
海沿いに落ちているものを拾ってきたそうですが、
もう狩猟に使うわけではないですから、
できるだけ角の丸いものを拾うそうです。
どうやらツーリストや一般の人も体験させてくれるそうです。体の大きなチャモロの男性たちに声をかけるのは少し勇気が入りますが、もし興味があれば声をかけてみてくださいね。では早速、子供たちがスリングストーンに挑戦です。
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まずこのように薬指と小指にローブの輪を通します。
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そしてネット状になったところに石をしっかり固定。
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あとは振り回して投げるだけ。
一見簡単そうに見えますが、的に当てるのはなかなか難しい!昔の人はこれで獲物を捕らえていたなんて信じられません。子供たちは何度挑戦してみても外ればかり。でも海のほとりでスリングストーンなんて、ちょっとしたチャモロ気取りです!
今年3月にはスペインでスリングストーンのトーナメントが開催され、もちろんグアムからも2名の選手が出場。スポーツとして現代によみがえり、世界で親しまれるスリングストーン。2年後の2021年は、グアムが世界舞台に登場するきっかけとなったマゼラン一行の来島から500年。これを記念し、スリングストーンのビッグイベントを開催予定なのだとか。グアムでスリングストーンブームが沸き起こりそうですね!
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ここは海沿いのエリアで、のんびり寛ぐローカルの人も多く、
海風に吹かれながら散歩をするツーリストの姿も。
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ここから眺めるサンセットもなかなかのもの!
水曜日夜のチャモロビレッジ、おいしいお料理やトロピカルな雑貨ショッピングなどを楽しめますが、こんな体験もできるなんて知らない人が多いはず。ナイトマーケットのすぐ隣ではありますが、賑わいから少し離れた場所で暗くなると人が少なくなるので、行ってみるなら明るいうち。おいしいチャモロ料理を食べる前の散歩がてら、訪れてくださいね。