海洋文化と伝統的な習慣を祝うイベントとして開催された「ピティ・シー・フェスティバル」は、スーパー台風シンラクの影響により実施が危ぶまれていました。しかし関係者の尽力により準備が進められ、開催予定日から1か月以上遅れたものの、5月30日と31日に無事初開催となりました。会場となったピティのサントス・パークはフィッシュアイ・マリンパークから車ですぐの海岸沿いに位置しており、村長やスタッフさらにGTA(Guam Telephone Authority: グアムの通信サービス会社)の協力によってがれきの撤去や環境整備が行われ、イベントにふさわしい状態へと整えられていました。午前11時のスタートと同時にチャモロ語の音楽と舞踊が流れ、来場者の心を静かに揺さぶる印象的なオープニングセレモニーとなりました。

音楽が終わると、海への敬意を示す儀式として来場者は真紅の火炎樹(カエンジュ)の花をヤシの葉と竹で編まれた神聖な台の上にそっと捧げていきます。

火炎樹(カエンジュ・カエンボク)は熱帯に自生する世界三大花木のひとつで、枝先に咲く赤やオレンジの大輪が燃え上がる炎のように見えることからその名が付けられているそうで「賞賛」や「栄誉」といった花言葉を持つこの花は、まさにこのイベントの趣旨にふさわしい存在です。

花がすべて捧げられると選ばれた継承者たちがその花を海へ送り出し、儀式は厳かに締めくくられました。“海の恵み”を意味する「I Rikesan I Tasi」に込められた海と共に歩んできた人々の祈りと敬意が深い感動として心に残りました。

海にまつわる文化や技術を体感できる多彩なプログラムがあり、グアム大学のチューク学生会やミクロネシアン・ユースクラブなどによる伝統航海デモンストレーションやカヌーライドが企画され、ビーチにはイベント用にグアム大学の手作りのカヌーも展示されていました。

会場には子どもたちが普段なかなか触れることのない海の技を学べるブースも並びました。リールのついた釣竿でおもりを遠くへ投げるゲームに挑戦したり、投網の投げ方を教わる姿が見られました。初めて体験する海の文化に目を輝かせながら挑戦する子どもたちの笑顔はとても印象的で、楽しさの中にもやってみると意外と難しいという発見もあったようです。体験を通して海への興味がさらに深まり、学びと驚きが自然と広がっていく様子が伝わってきました。


会場には屋台も立ち並び、グアムらしい貝細工のアクセサリーや多彩なフードトラックが並んでいて海の文化を学ぶだけでなく、お祭りのような楽しさも体験でき、ローカルフードの香りや手作り工芸品の温かみが会場を彩り五感を通して島の文化を楽しむことができました。


最近のグアムでは体験型のイベントが増えてきており、島の文化に触れる機会が広がっているように感じられます。今回のフェスティバルについても、主催者は「海洋文化遺産を称えるうえで意義深い一歩であり地域の誇りと文化の継承を育むものだ」と語っており、海をテーマにした取り組みが地域全体に新たな価値をもたらしていることが伝わってきます。こうしたイベントを通じて訪れる方々は楽しみながらグアムの歴史や文化を深く知ることができます。次にグアムを訪れる際には、ぜひまた新しい魅力を体験してみてください。

<インフォメーション>
イ・リケサン・イ・タシ:ピティ・シー・フェスティバル(I Rikesan I Tasi: A Piti Sea Festival)
開催日:2026年5月30日(土)&31日(日)
時間:11am-8pm
場所:ピティ地区ペドロ・サントス・パーク(Piti: Pedro Santos Park)
入場料:無料

