イタリアのフィレンツェにある「ウフィツィ美術館 (Galleria degli Uffizi)」は、ルネサンス絵画を中心に2,500点にのぼる展示物を収蔵する、イタリア屈指の美術館です。銀行を創設し貿易で莫大な冨を得てフィレンツェに繁栄をもたらした"メディチ家"の美術コレクションを収蔵する美術館としても知られています。この美術館に収められている、サンドロ・ボッティチェリ作「ヴィーナスの誕生」やレオナルド・ダ・ヴィンチ作「受胎告知」などは、美術史上重要な名画であることは誰もが知るところです。そんなウフィツィ美術館のルネサンス期の名画10点が日立製作所のデジタルイメージングシステム技術で複製され、現在グアムで特別展示されています。本物に迫るリアルな複製デジタル名画と名画鑑賞のポイントをまとめたデジタル映画は、まるでウフィツィ美術館にいるかのような感覚でルネサンスのアートを体験できます。8月10日(日)から9月13日(土)までと短期間ではありますが、朝10時から夜8時まで毎日無料で入場でき、また、日立製作所の超高精細デジタル化技術で再現した実物大レプリカには保護ガラスや柵がないので、近づいて細部まで鑑賞できます。

レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロと並ぶ
盛期ルネサンスの三大巨匠の一人であるミケランジェロ作
「聖家族と幼児洗礼者ヨハネ」。

「ウフィツィ・ヴァーチャル・ミュージアム展(Uffizi Virtual Museum Guam)」は、イタリアと日本が共同で取り組んでいる "Excellence Digital Archive for Polo Museale Fiorentino"というプロジェクトの成果を活用して実現したそうです。フィレンツェ地区の最重要絵画26点を超高精細にデジタル化し様々な応用展開を図ることを目的にしたプロジェクトに、日本が世界に誇る素晴らしい技術が使われています。この技術によるデジタル化では絵画を分割撮影することで、大型絵画の超高精細デジタル化を実現しました。画素数は、サンドロ・ボッティチェリ作「ヴィーナスの誕生」(縦172cm×横278cm)の場合で"103億画素"でデジタル化されているというから驚きです。撮影したデータをコンピュータ上でつなぎ合わせ、画像処理技術によって正確な形、実物に近い色彩や質感を再現します。ウフィツィ・ヴァーチャル・ミュージアム展では、そのデータを"実物大での展示(一部縮小あり)"、200インチスクリーンの"デジタルシアターでの放映"、更にタッチパネルスクリーン上で拡大表示できる"インタラクティブ・ツールでの鑑賞"が出来るのです。

サンドロ・ボッティチェリ作「ヴィーナスの誕生」。

こちら「ヴィーナスの誕生」は古代ギリシャ・ローマ神話で語られている、海から現れるヴィーナス誕生の様子を描いた作品です。

レオナルド・ダ・ヴィンチ作「受胎告知」。

新約聖書に書かれたエピソードのひとつ「受胎告知」は、処女マリアの元に天使ガブリエルが訪れてキリストを身籠った事を告げる場面を描いています。

サンドロ・ボッティチェリ作「マニフィカトの聖母」。

「マニフィカトの聖母」で描かれている、左右から聖母に冠をかぶせているのは天使です。冠に散りばめられた無数の星は「明けの明星」を意味し、天上のマリアを示しているそうです。赤ん坊のイエスはマリアに、マニフィカトの最後の言葉を書くよう促しているのだとか。

ラファエロ作「ひわの聖母」。

ラファエロが友人の結婚祝いに贈ったこの作品「ひわの聖母」は、その友人の家が地すべりにあった際にバラバラになってしまいました。その後、17個の小片を継ぎ合わせて修復され、現在に至っています。不遇の作品もデジタル技術で原画の美しさを取り戻しています。

ティツィアーノ ・ヴェチェッリオ作「ウルビーノのヴィーナス」。
豪奢なルネサンス風宮殿を背景に
横たわるヴィーナスを描いた官能的な作品です。

会場に設置されたデジタル絵画10点は、タッチパネルスクリーンでも鑑賞することができます。

こちらがタッチパネルスクリーン。

お好みの絵画を選び、拡大したい部分に2本の指を置いて指を広げます。
するとその部分が拡大され、絵画のディテールが現れます。

会場の奥にはシアターが設けられており、作品ごとに3分から5分程度のビデオが用意されています。いずれもウフィツィ美術館内の展示風景から始まり、名画鑑賞のポイントや絵画に描かれているモチーフの意味などを解説してくれます。

こちらが会場の奥に設けられたシアター。

時間と共に色褪せていく名画の輝きが
デジタル技術によって数百年の時を超え蘇ったと言えます。
日本が誇る技術が500年前の画家の息づかいを
未来へ伝えていくのです。

今回のイベントは、「ノーザングアム・ロータリークラブ(Rotary Club of Northern Guam)」主催で実現しました。イタリアルネサンス時代の巨匠の作品を広く、特に若い世代に鑑賞してほしいという願いが込められており、グアムでは無料での開催となっています。会場の一角では、このイベントの意義に共感した画家やコレクターが持ち寄った美術品のサイレントオークションが行われており、収益はイベント開催費用の一部に充てられます。イタリアに出かけることなく、名画を隅々まで間近で鑑賞できる機会をお見逃しなく!

ノーザングアム・ロータリークラブに関する詳細はこちら。
https://www.facebook.com/RCNorthernGuam

<インフォメーション>

イベント名:ウフィツィ・ヴァーチャル・ミュージアム展(Uffizi Virtual Museum Guam)
期間:2014年8月10日(日)~9月13日(土)
時間:10:00AM~8:00PM
場所:1225-1275 Pale San Vitores Rd., Tumon Bay, Guam 96913
ロケーション:ザ・プラザ サウス2階 JCB前
入場:無料